TOPICSBOOK

人形・マスコット作家の宇山あゆみさんによるフォトエッセイを紹介です。コレクターとしても知られる宇山さんの懐かしい思い出やコレクションに触れられる1冊となっています。

パンダとバンビ
[本]パンダとバンビ/宇山あゆみ(amazon)

新紀元社 2011.6.1発売 1680円
ISBN:978-4-7753-0637-6

本は3つの章で構成されていて、1つは宇山さんが集めたパンダやバンビグッズのコレクションが紹介されている章。2つめはこの本のメインとなるフォトエッセイの章で、子供の頃の懐かしい思い出話が綴られています。3つ目は「パンダ×バンビ会議」と題された対談のページで、お相手はメルヘン・アーティストのタケヤマ・ノリヤさんです(ちなみにタケヤマさんは1章のグッズコレクションの画像提供もされています)。

「パンダとバンビ」というタイトルは宇山さんが子供の頃の思い出を振り返ると、必ずそばにパンダやバンビがいたということで名付けられたそうですが、それも納得のグッズの数々にまずは圧巻されました。

続いて2章のフォトエッセイのページ。宇山さんとは世代もずれているし、エッセイを読む限り、都会のお金持ちの家の子っぽいので、田舎の貧乏っ子の僕とは共通点なんてまるでないのですが、それでもなぜか、その時代のその場にいたかのような追体験ができてしまうんですね。もちろん、誰もが子供の頃に通るエピソードというのもありますが、丁寧で実直に書かれた文章がそうさせてくれているように感じました。

そして最後の対談では、タケヤマ・ノリヤさんの作品と出会ったときの話や、創作に関する興味深い話を読むことができました。先人が積み上げてきた「かわいい」という表現を大切にしながら創作されているお2人なんだなぁと、思いましたです。

[本]パンダとバンビ(出版社の紹介ページ)
宇山あゆみ(公式サイト)
世界のメルヘン タケヤマ・ノリヤのサイト

TOPICSBOOK,アニメ

放送43年目となる今も大人気の国民的アニメ「サザエさん」の初となる公式本が登場しました。

アニメ サザエさん公式大図鑑 サザエでございま~す!
[本]アニメ サザエさん公式大図鑑 サザエでございま~す!(amazon)

扶桑社 2011.7.16発売 1365円
ISBN:978-4-594-06438-9

オールカラーで登場キャラクターの紹介や間取り図紹介、アニメ製作現場の裏側、サザエさんクイズなどが掲載されていて、ビジュアル的にも読み物的にも楽しめる内容に仕上がっています。

個人的に注目だったのはやっぱりキャラクター名鑑のコーナーです。定番キャラからレア度の高いキャラまでいろいろ紹介されています。詳しさではWikipediaの方が上ですが、やっぱりイラスト付きなのと公式っていうのがいいですね。本では親戚の一部に紹介はされているものの名前が掲載されていない人がいるんですが(マスオの兄サケオや、波平の妹なぎえなど)、一方でサザエさんが希にお手伝いに行くお金持ちの湯水さん宅で飼われている犬の名前(クラフトフラッシュ・ローヤルウェイ グッド ダルマシャン・モンタナ)はしっかり掲載されているのがちょっと面白いなぁと思いました。何か基準があるんでしょうか。
あと、いなくなった浜さんや三平さんはさすがに紹介されていないか…と思ったら別コーナーで掲載されていたのも嬉しかったです。またアニメにもちょこっとでいいので登場してほしいなぁ。

そんな中でやっぱり面白いと思ったのが波平の存在。昭和の厳格な父の象徴というイメージがありますが、一方でやたらお間抜けなエピソードも豊富だったりするんですよね。波平の弱点をまとめたページがあるんですが、頭髪ネタ4連発のあとに「ほかにもあります! 波平の弱点」として「お酒に弱い」「美人に弱い」「不器用」「あきっぽい」と4つの弱点がまとめられていて笑いました。ここだけ見たら波平って単なるダメ人間じゃないですか…(笑)。でもそういういつの時代にも当てはまる普通の人を描いているからこそ、衰えない人気を得られているんだなぁと思ったのでした。

[本]アニメ「サザエさん」公式大図鑑 サザエでございま〜す!(出版社の紹介ページ)…本の購入者を対象にしたキャンペーンも受付中です(9/30まで)。
長谷川町子美術館…7/16-8/31まで、アニメサザエさん展が開催されています。

コカコーラのCMにサザエさん一家が登場(2004.4.3)

TOPICSBOOK

suicaのペンギンやチーバくんなどのキャラクターでおなじみの坂崎千春さんがイラストやキャラクターデザインについて語った書籍が発売されています。

イラストのこと、キャラクターデザインのこと。
[本]イラストのこと、キャラクターデザインのこと。/坂崎千春(amazon)

ビー・エヌ・エヌ新社 2011.1.25発売 2079円
ISBN:978-4-86100-743-9

「語った」なんて書くとなんだか漠然としていますが、実際には「ここまで詳しく書いてしまっていいの?」と心配してしまうほど具体的な”描き方”についての解説や、どんなことを意識しながら創作しているのかなど、考え方や取り組み方について綴られています。

第一線で活躍しているキャラクターデザイナーの方が、自身の創作方法について詳しく語った本って、これまであまり見たことがなかったのですごく新鮮でした。表紙に「「生み出す」のではなく「みつけ出す」」という言葉がフィーチャーされていますが、この言葉の意味を含め、「キャラクターデザインってこういうことなんだ!」ってはじめて気づかされることがたくさん詰まっていました。
各キャラクターの創作段階の資料などもふんだんに掲載されているので、資料的に眺めるだけでも面白い1冊に仕上がっています。
 

あとついでに、坂崎さんも関わっている似たジャンルの書籍を2冊紹介しておきます。

成功するキャラクターデザインの法則
[本]成功するキャラクターデザインの法則(amazon)

パイインターナショナル 2010.7発売 2625円
ISBN:978-4-7562-4014-9

タイトルが若干胡散臭い感じの本なんですが、これもホントにいい本でした。キャラ研、手塚プロダクション、博報堂、合田経郎さん、彦根市、坂崎千春さん・電通、大貫卓也さんというジャンルは違えどキャラクターに携わるっている人々へのインタビューをまとめた書籍なんですが、この本のいいところは”成功する法則”とやらを偉そうに語っている人が1人もいないところです。誰にもそんなもの分からないっていう前提に立って、その中で「こうではないか」と仮説を立てながら試行錯誤を繰り返していくというプロセスが正直に綴られていて、自分なりの法則を発見することが何より大切だと言うことを教えてくれます。

日本イラストレーション史
[本]日本イラストレーション史/美術手帖・編(amazon)

美術出版社 2010.10.22発売 1890円
ISBN:978-4-568-43069-1

この本は日本のイラストレーションが辿った約60年の歴史をいろんな角度から振り返るという趣旨の本です。坂崎さんやひこねのりおさんなど、11人のイラストレーターへのインタビューも掲載されているんですが、見てのとおり坂崎さんのペンギンくんが表紙なんですね。すごいです。

イラストのこと、キャラクターデザインのこと。(出版社の紹介ページ)
成功するキャラクターデザインの法則(PIE BOOKS)
日本イラストレーション史(出版社の紹介ページ)
さかざきちはる(公式サイト)

[本]うわのそら/坂崎千春(2009.10.26)

TOPICSBOOK

ミッキー・マウスにドナルド・ダック、バックス・バニーやトゥイーティー、ポパイ、ベティ・ブープ、トムとジェリー、ウッディー・ウッドペッカーなどなどなど、現在もアメリカン・ポップカルチャーの象徴的存在として生き続けているキャラクターたち。
そんな数々の名作を生み出したアメリカアニメーション黄金時代の歴史をまとめた書物が発売されています。

マウス・アンド・マジック上
[本]マウス・アンド・マジック―アメリカアニメーション全史 上/レナード・マルティン・著、権藤俊司・監訳、出口丈人、清水知子、須川亜紀子、土居伸彰・訳(7net)
(amazon)
楽工社 2010.4.26発売 5145円
ISBN:978-4-903063-42-3

マウス・アンド・マジック下
[本]マウス・アンド・マジック―アメリカアニメーション全史 下/レナード・マルティン・著、権藤俊司・監訳、出口丈人、清水知子、須川亜紀子、土居伸彰・訳(7net) (amazon)
楽工社 2010.7.1発売 5145円
ISBN:978-4-903063-43-0

アメリカの映画史研究家、レナード・マルティンが1987年に上梓した「OF MICE AND MAGIC: A History of American Animated Cartoons」(amazon)という書籍を翻訳したもので、上下巻あわせて800ページ超、値段も1万円越えという大著となっています。作品は主に制作スタジオ別に章立てでまとめられていて、このような順番で収録されています。

【上巻】
サイレント時代
ウォルト・ディズニー
アブ・アイワークス
マックス・フライシャー
パラマウント/フェーマス・スタジオ
ポール・テリーとテリートゥーン

【下巻】
ワーナー・ブラザーズ
MGM
ウォルター・ランツ
ヴァン・ビューレン・スタジオ
コロムビア――チャールズ・ミンツとスクリーン・ジェムズ
UPA
その後の物語

作品そのものの解説だけではなく、詳細な調査により当時の時代背景や制作にまつわるエピソードなどが多面的に掘り下げられていて、まさに「全史」といった内容です。巻末にはDVD・作品リストも収録されています。

この手の本といえば、以前森卓也さんの「定本 アニメーションのギャグ世界」という本を取り上げたことがありましたが(こちらは1978年に発売された書籍の復刻版)、あの本も1つ1つのギャグを恐ろしいほど丁寧に掘り下げ、鋭く解説していく凄まじい内容でしたが、こちらもこちらですごいボリュームで圧倒されてしまいます。この時代のアニメーションが好きならば、どちらの本も手に取ってみて損はないかと思います。

[本]マウス・アンド・マジック―アメリカアニメーション全史 上(出版社の紹介ページ)
[本]マウス・アンド・マジック―アメリカアニメーション全史 下(出版社の紹介ページ)

TOPICSBOOK,企業キャラ

これはアメリカの昔懐かしい広告キャラクターを集めた書籍です。

アド・ボーイ
[本]アド・ボーイ~アメリカン・ヴィンテージ広告・キャラクター大全~/ウォーレン・ドッツ、マサド・フセイン(amazon)

グラフィック社 2010.7発売 1575円
ISBN:978-4-7661-2123-0

1950~70年代頃のキャラクターを集めているそうです。思わず「懐かしい」なんて書いてしまいましたが、実際にはほとんど見たことないキャラクターばかりなのでどっちかというと新鮮です。それもすごく。今の時代にはないセンスだしね。
カラーでビジュアルメインの内容になっていて、ページ数もそこそこあるのに意外と安いのもよいです。

[本]アド・ボーイ~アメリカン・ヴィンテージ広告・キャラクター大全~(出版社の紹介ページ)

[本]Meet Mr. Product: The Art of the Advertising Character(amazon)…同じ著者によるアメリカ広告キャラクターをまとめた書籍。こちらは翻訳されていません。2003年2月、Chronicle Booksより発売。
[本]アメリカン・キャラクター大図鑑(amazon)…これも著者の1人(ウォーレン・ドッツ)による1950~90年代にかけてのアメリカ広告キャラクターを扱った書籍ですが、こっちはちゃんと翻訳済みです。現在は入手困難みたいだけど。1999年1月、グリーンアロー出版社(現・Bbmfマガジン)より発売。

TOPICSBOOK

これもちょっと前に出た本ですが、絵本作家の荒井良二さんの初となる作品集です。

meta めた
[本]meta めた/荒井良二(amazon)

フォイル 2010.4.30発売 2100円
ISBN:978-4-902943-54-2

思うがままに描かれたいろんなタイプのイラストが、これでもかと収録されていて、まるで荒井さんの脳の中を直接覗き込んでいるような気分にさせてくれる1冊です。こういう作品、好きだな~。

また、同時期に発売された絵本「モケモケ」もすごかったです。

モケモケ
[本]モケモケ/荒井良二(amazon)

フェリシモ出版 2010.5.21発売 1350円
ISBN:978-4894325210

「モケモケ」というのは荒井さんの造語で、幼児が持つ感覚世界を表現したものらしいんですが、「meta めた」が荒井さんの脳の中なら、こっちは見知らぬ幼児の頭の中に飛び込んでしまったかのような、不思議感覚に満ちあふれた世界になっています。まさにモケモケです。

この本はフェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」というシリーズの1つとして出版されたものなんですが、こうした言葉による”おはなし”がない絵本までラインナップするとはなかなかすごいです。

[本]meta めた(出版社の紹介ページ)
[本]モケモケ(出版社の紹介ページ)
荒井良二(公式サイト)

[本]ルフランルフラン2 本のあいだのくにへ/荒井良二(2006.5.27)