MEMO

■毎回同じようなこと書いてる気がするけど、時間がたつのが早すぎるなぁ、と。2月もあっという間に終わりですが、今月はいろいろとイベントに行ってきましたよ。

まずは前回の更新でも書いた2/1に行われた中川李枝子さんと宮崎駿さんによる講演会。面白かったです。内容については「母の友」2014年6月号に掲載されると言うことなのでここではまとめなくてはいいとは思いますが、一応感想的なものは改めて書きたいなと思っています。

公演後に開かれた中川さんのサイン会にも参加して、「いやいやえん」にサインして頂きました。実は中川さんにサイン頂くのは2回目。貰いすぎですよね(笑)。でもどうしても「いやいやえん」に貰いたかったので…。

宮崎さんは学生のときに「いやいやえん」を読んで衝撃を受けたと語っておりましたが(ちなみに鈴木敏夫さんも同じ時期に読んで衝撃を受けていたらしい)、僕もこの本を子供の頃に読んで衝撃を受けたんですよね。たぶんそういう人が全国にいっぱいいるんじゃないのかな。改めて、読んで衝撃を受ける童話ってすごいよなぁって思いました。
 

 

そして毎年2月のお楽しみと言えば、あれです。文化庁メディア芸術祭。今年も行ってきましたよ。展示スペースは、いつもなら作品ごとに壁で仕切られているんだけど、今年は壁を取っ払ってバーンと1つの空間で見せるかたちになっていて新鮮でした。

関連イベントにもいくつか行ってきたんですが、最終日に行われた「想像力の共有地〈コモンズ〉」と題された3部構成のシンポジウムの1部と2部を見てきました。1部は「日本のエンターテインメント—フィクションの神話/ゲーム的創造力」というタイトルで、登壇者はさやわかさん、津田大介さん、イシイジロウさんの3人。”ゲーム的な創造力”が他のメディアへと拡散されていき、それが再びゲームの世界にフィードバックされるとき、どういうことが起こるのか、というテーマを軸に各々が思っていることを語るという内容で、非常に密度の濃い、聞き応えのある内容でした。デモレーターという立場で場を仕切っていたさやわかさんは、かつてはネット上で「ムーノーローカル」や「ニーツオルグ」といった人気サイトを運営されていたあの方です。現在は「物語評論家」という肩書きで活動されているんですね。かっこいいと思いました。物語。物語か~。いいなー。あと派手なシャツが印象的でした。内容については時間があったらまとめてみたいと思います。
 

2部は「ジャパン・コンテンツとしてのコンテンポラリー・アート ―― ジャパニーズ・ネオ・ポップ・リヴィジテッド」というタイトルで、現代美術の世界で活躍する
中原浩大さん、ヤノベケンジさん、村上隆さんの3人が日本のポップ・アートとコンテンポラリー・アートの関係について改めて語るというものだったんですけど、最初の1時間がね、デモレーターの楠見清さんによる3人のこれまでやこれからの活動についてや今回のイベントの趣旨についての説明に費やされていて、盛り上がりに欠けるというか、眠たくなると言うか、寝てしまってました(笑)。
でも1時間を過ぎたあたりから、これまでぶすっとした表情で黙っていた村上さんが覚醒しだしてきて、楠見さんの発言に噛みつく噛みつく(笑)。こういうイベントの場であそこまで人(しかも司会者)の意見を完全否定する人、はじめて見たかも。そこから村上さんを中心に話が流れるようになっていき、いろいろ面白かったんですが、気になる人は誰かがまとめていると思うので検索してみてください(美術手帖にも載るそうです)。

とにかく村上さんのスタンス、独特だなぁと。数年前までは日本の現代美術を取り巻く環境のダメダメっぷりに嘆いていて、どうにかちゃんとする方法はないのかと考えていたそうなんだけど、今ではどうすることもできないという結論になってしまったようで、絶望しか感じなくなったと。でも自分は(例え日本では正当な評価を受けることはなくとも)欧米ではスーパースターなので、自分の創作ができる環境を向こうで完全に構築してあるし、まったく問題ないと。日本の現代美術界がどうなろうと知ったこっちゃないと。そんな感じの語り口でした。

ただ、本当にどうでもいいと思っていたら、わざわざ日本のこんなイベントに出てきて発言することもないんですよね。そこは踏まえて一連の発言については考えなくてはならないんだと思います。

で、何がダメなのかというと、村上さんが言うには、作品を鑑賞するに当たって”文脈”を知ろうとしないと。ネット社会の受けだったり、分かりやすいものばかりに群がって、即座に答えを求めることに慣れ親しんでしまってことで、深く考えることができなくなっていると。とにかく、文脈、コンテキストという言葉を何度も多用していました。文脈がないと現代美術は理解できないと。

ヤノベさんから日本での自分のことをメジャーだと思ってないの?と聞かれたときは、「自分はガロの漫画家のようなもの」との返答でした。まあずいぶん有名なガロ作家さんもいるもんだと思ったものですが、ガロ出身でも蛭子さんみたいに有名な人もいますからね。そういうことなんでしょう(たぶん違う)。
 

 

メディア芸術祭についてはまだ書きたいことはあるんですがとりあえずこの辺にしまして、次のイベントへ。これは先日見に行ったばっかりなんですが、明日までギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催している「「指を置く」展 佐藤雅彦+齋藤達也」を見に行ってきました。まさに紙を使ったメディアアート。楽しかったです。会場には小さい机がいくつも設置されていて、そこに1枚ずつ絵をプリントした紙が置かれているんだけど、その絵の指定した場所に指を置くと不思議なことに絵の見え方が違って見えるという作品です。

最初は「え、そんだけ?」と思っちゃったんですが、いろんなバリエーションの作品があって、試し続けているといつの間にやら指を置く行為にどんどんのめりこんでしまいました。

地下の会場の入り口付近には唯一任意の場所に指を置いていい作品が展示されているんですが(虫のやつ)、これが僕の好きな佐藤さんの作品、「クリック」(amazon)の世界観に通ずるものがあって、思わずにやりとしてしまいました。

紙以外のメディアを使った展示も少しあって、これも面白かったです。ブランコのやつ、思わず左手を机に添えてやってたら、説明書きに「左手を机に置かないでください」って書かれていてちょっとびっくりしました。なんでわかったん?
あと、紙を載せるためだけに、立派な机をたくさん作っているのがすごいなと。そのへんの見せ方へのこだわりも作品の一部なんでしょうね。
 

 

3月もいろいろと見に行こうと思っているんですが、今のところはこのあたりに行くつもりでいます。

誕生50周年記念 ぐりとぐら展(東京会場:松屋銀座 2/27-3/10)
星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会(世田谷文学館、1/25-3/30)
「美少年の美」及川賢治 (100%ORANGE) イラスト個展(トムズボックス 3/1-31)

ぐりとぐら展は講演会からの流れで行っとかないとという感じですね。トムズボックスでやる及川さんの個展は毎年この時期に開催されているんだけど、最近行けてなかったので今年は見に行きたいなぁと。クラフト・エヴィング商會の展覧会はトークイベントも併催されているけど、申込方法が往復ハガキのみで抽選という渋さ。さすがです。

MEMO

■あけましておめでとうございます。最近、毎日8時間寝るようにしています。頭がすっきりした気がするし、健康になった気にもなれるのでおすすめです。余計な健康法とかを実践している時間があったらその時間を睡眠に充てた方がいいと思うんですよね。どう思いますか?

でも実際のところ、いいことばかりでもないんですけどね。いちばんの問題点は自由な時間が減ってしまう! という点。やりたいことができないというフラストレーションが溜まってしまうし、どうしてもやらなければいけないこととかあるとすごくばたばたして、ご飯食べた直後に布団に潜るはめになったりして、それ絶対逆に体に悪いだろ…なんてことも頻繁にあるのでやっぱりおすすめはしないでおきます。もの好きな方は実践してみてください。

でもなんか、睡眠時間を削ってネットで情報収集して毎日のようにホームページを更新していたあの頃。あのモチベーションは一体どこから沸いていたんだろう…と人ごとのように思います。

■そんなのんきな日々を過ごしている最近の僕ですが、明日は久しぶりにちょっと忙しくて日中は中川李枝子さんの講演会を聞きに行ってきます。抽選に当たっちゃったんでございますよ! どんな話が聞けるのか、むちゃくちゃ楽しみです。この講演、「今を生きる子どもと親に伝えたいこと」というタイトルが付けられていて、正直親でも子でもない僕なんかに参加する資格があるのか? という問いが自ずと発生するわけなんですが、そういう人の視点から感じられることもあるのではと思っておりますです、はい。

あと、今回の講演、なぜか途中でアニメーション作家の宮崎駿さんの参加が決定して、2人での対談形式のイベントに変更になったんですよね。正直、なんで出てきた? って感じなのですが、まあそれはそれで珍しい気もするので楽しみにしておきたいと思います。

そんな感じでまた来月です。

MEMO

■久しぶりにトップページの絵を更新しました(過去の絵ページもUP)。絵を描くこと自体が前回(1年半前)ぶりだったのでどうなるんだろ…と思いましたが、相変わらずな感じのができました。
 

■さて、2013年ももうすぐおしまいになってしまいました。今年を振り返ってみると、やっぱり空前のゆるキャラブームの話題になっちゃいますね。特にくまモン、ふなっしーの2人はキャラクターの世界を飛び越えて、今年の日本を象徴する存在になったと言っても過言ではないくらいの活躍ぶりでした。

ふなっしーを最初に認識したのは世間の多くの人と同じタイミング、ゆるキャラがたくさん出ているCMに非公式なキャラが紛れてるって話題になってたときでした。その当時の僕はかなりネガティブ寄りの印象で、「あー、ゆるキャラの世界にも”終わりのはじまり”が来たのかなぁ」なんて思ったものでした。だって、ここまで露骨にお約束を破ることを売りに注目を集めるような存在が出てきちゃったら、ねぇ。
でも、ふなっしーはそんな僕の心配をよそにあっという間に世間に受け入れられ、トップスターになっちゃったのでした。そんなふなっしーをテレビで見ていると、まず気がつくのが尋常じゃないサービス精神。絶えずトリッキーな動きで見てて飽きないんですね。更にタレントとしての受け答えが並の芸人なんかよりよっぽどしっかりしていて、なんなんだこれはって思っているうちに気がついたら僕も好きになっちゃっていたのでした。本当にすごいよ、ふなっしー。

そしてくまモン。まあくまモンは前から人気者でしたが、更に認知度を拡大させましたよね。そしてなんと言っても10月に天皇皇后両陛下の御前でくまモン体操を踊るという偉業(!?)を成し遂げたことが印象深いです。
東京五輪開催決定の瞬間などと並んで、2013年を象徴する出来事と言ってもいいのではと思います。

そんな行き着くところまで来た感のあるゆるキャラブームですが、来年はどうなるんでしょうね。仮にブーム的な現象が落ち着いたとして、その後の状況ってどんな感じになるんでしょうか。

よく一発屋芸人なんて呼ばれてる人が、すっかりテレビで見なくなってしまってから、地方の営業で食いつないでいるなんて後日談をたまに出たテレビで語っていたりしますが、ゆるキャラの場合は芸人と違って主戦場は中央のメディアではなくまさに地方にあるわけなんだから、そう考えると今まで異常だったのが元に戻るだけで何も困ることはないとも言えるのかもしれません。ただ、第2のくまモンを目指すものの中央のメディア露出を当てにして無駄に税金使って批判殺到みたいな、残念なケースもひょっとしたら出てくるかもしれませんね。

あとは、くまモンもそうだけど、ゆるキャラって年々洗練されていってるでしょ。一方でオカザえもんみたいなのもいるからいいんだけど、あんまり洗練されたキャラばかりが前に出るのもつまらない感じがしますよね。存在が世間に認知され、社会に組み込まれてしまったために、自由さを失いつつあるというか。元々注目されるために活動しているんだからそれ自体は悪いことでも何でもないんですが、一方で費用対効果がどうのとか今までスルーされてきたようなこともどんどん言われるようになっちゃうわけで、そういう状況の中でゆるキャラたちが自分たちのアイデンティティでもある「ゆるさ」をどう発展させていくのかも気になっています。

そんな感じで1年を振り返るとゆるキャラの話ばっかりになっちゃいましたが、それ以外のキャラクターの話題ってなんかありましたっけ。書きたいんだけど思い浮かばないのでやめときます(笑)。
 

■あとはなんだろうなー。今年はなんかメディアでえらい里田まいさんが持ち上げられていましたね。実際にすごい人なんだけど、ちょっと前まで「おバカ」扱いだったのに手のひら返しに笑いました。
以前、里田さんによる朗読とイメージソングが収録されたCDがついてくるトゥイーティーの絵本を紹介したときに、里田さんのことを苦労しているので頑張ってほしいみたいなことを書いていたんですが、その翌月に交際報道があったんですよね。僕なんかに言われなくても頑張ってるわな。そりゃそうか、なんて思った記憶があります。でも本当にすごい人だと思っているので、これからも密かに応援したいと思います。
 

■最後に1つ、今年のうちに触れておきたいことがあって、2月にゲームクリエイターの飯野賢治さんが42歳という若さでお亡くなりになったことが言葉では言い表せられないくらいショックでした。飯野さんの生き様、好きだったんですよね。

先日、パソコンの中のファイルを整理していたら、飯野さんがWeb上で書いていたある日の日記の文章が出てきました。大好きな文章だったのでローカルに保存していたのでした(日付を見るに13年前、飯野さんが30歳のときの文ですね)。今はWebには存在しないみたいなので、ちょっとズルいけど全文を引用というか転載するかたちで2013年を締めたいと思います。それでは、また来年です。
 

2000年11月15日(水) 
baloonman 
 
いつの間にか11月も半ばになった。
なんか「ノストラダムスは…」とか言ってた時から
もう1年が経つんでしょ。
なんか、早ぃなぁ。
 
もう21世紀かい。
2001年宇宙の旅のようにはならんかったなぁ。
シャトルで地球のちょいと外(宇宙的にみたら
ほぼ地球範囲内)に行って帰ってくることばかり
だもんなあ。
月に人間の足跡が付いたりと、宇宙に人間の
進出が激しく進んでいたのも
もう米ソ宇宙パワー&見栄合戦の頃。
シャトルじゃ、月へも火星へも行けまへん。
まず燃料的に。
 
そういえば、今月の25日、スペースシャトルの
アストロノーツだった方と
同志社でディスカッションがあったっけ。
キャサリンソーントンさんだよな、確か。
あと、僕の好きな東大松井さんと。
後は誰だったか忘れた。
 
宇宙に人類、また地球上の生物が進出した時
DNAのスイッチon的なことが起こるのか?
今の僕らの体は地球上の1Gという状況的条件の
上で出来た(進化してきたor適応してきた)
ものだから、それが宇宙に行ってしまうと
この身体の形の意味を失うわけじゃない。
宇宙慣れした生物(がいるかどうかは別にして)
から見たら僕らは
「意味ねぇ~!」
って形しているんだもんね。
四本足とか、二本足とか、口が上とか
真空じゃ、耳の意味はどうなるんだ?
つうか、上とか下とかないぞ。
本人は止まっていると意識していても
時速1000km/hで近付いてくるヤツから見たら
時速1000km/hで走っている危ねぇヤツになる。
太陽の方に顔を向ける、向日葵のような
なんか、そんなうまい作戦も必要そうだ。
代替わりの早い生物を宇宙に持っていって
ドンドコ世代交代をさせたら、驚くような
生命のマジックというか、ロジックが見れるのか?
「やっぱDNAってすげぇのぉ」と
「殆どがジャンク……では、なかったのぉ」と
いろいろと感心して
ちょっとは、謙虚になったりもするのか?
人間は。
しないのか、それが人間か?
極端に「闇」を怖がり
きちんと「死」を捉える生物つうだけか、やっぱ。
そんだけか、どうしても。
あと、そういったことと、宇宙に行った
アストロノーツ達が「神憑かり」になる
っていう事実と
うまく、まとめて議論していこう。
って、そんな内容でいいんだっけ?
つうか、テーマ関係なく、俺はそれでいくぞぉ!!
ジーンサーナンの
「月面に立った男-the last man on the moon-」を
読んで臨むぞ。
わけわかんなくなっていくから、この日だけは
量子力学的な、観念的な方向に持っていかないようにしよう。
って、楽しみだ、こりゃ。
前日つうか、当日の朝までオールナイトで
Underworldだってのが、ちょいと不安だが。
いいねぇ
Under the worldと
Above the earthが連続だ。
下も上もどっちもいいぞぉ(適当)。
 
で、本題(やっとかい)。
この「11月の中旬」となると
毎年、ちょっと心が痛くなる。
ある男のことでだ。
宇宙とまでは言わないが
単身、アメリカ大陸まで
しかも、風船と桧のゴンドラという
誰が聞いても「無茶」っていうか
ほぼ「ギャグ」としか受け止めてもらえない
プランで
本当に飛び立ってしまった男
そう
「風船おじさん」のことだ。
 
そして、7年が経った今、彼はまだ
「着いた」とも「帰った」とも
何も言ってこない。
そして、誰も「どこかで発見した」とは言わない。
永遠にファンタジーの世界で
僕の頭の中で
ガンダムの最終回の
アムロが乗り捨てたコアファイターのごとく
ずぅ~っと飛び続けてくのだろう。
イマジネーションの宇宙を、これからも。
 
そのころと言えば、僕は精神的に絶不調だった。
一生に一度であろう、もしかしたら精神病のような
ものの状態だったかもしれない。
やる気が出なかった。
この世の中に「余裕」というか「面白み」を
感じなくなっていた。
息苦しかった。
バブル崩壊後の時代の空気も重かった。
どこにも、世の中にファンタジーはなかった。
ウルトラ警備隊のシューティングの企画してた
頃だったなぁ。
ボムをおすと、セブンが「とりゃ!」。
なんか、合わない。
 
そんな時に、おじさんは夢のような企画と共に
ブラウン管から僕の前に現れた。
町の話題だった。
デビ婦人とか、そういうレベルでだが。
みんなが笑っていた。
仮面ノリダーみたいなもんだ、当時では。
それは、もうちょっと前か。
とにかく、僕はその存在に泣いた。
嬉しかった。安心した。
固まった世の中に吹いた元気な風だった。
ファンタジーだった。
メルヘンだった。
なんだか、救われた。
でも、すごく心配だった。
 
そして、11月23日午後4時30分。
ついに、おじさんは飛び立っていった。
そのニュースは、家で聞いた。
小学校の時の合唱の自由曲
「気球に乗ってどこまでも」が頭に流れた。
状況は「危急に乗って」だったけど。
 
おじさんは僕の中でアーティストだった。
あの時代感に、ちょうどぴったりな
テーマである「ファンタジー&メルヘン」を
表現したアーティストだった。
体言したから、大変なことになったのだけど。
 
「奇人・変人」の部類で終わり
あまり語られていないので、ここで書いておくが
アメリカを目指した理由も
「なんとなくアメリカン」ではない。
危機的状況にあったネバダの鳴き砂保護のためだった。
だから、当初の出発地もその現象が見られる
島根県からだった。
でも、無茶だった。
彼のアメリカ行きのプランは
ジェット気流に乗るさらにその上の
高度1万メートルへの上昇にかかっていたからだ。
そこは、成層圏だ。
無理っつうか、呼吸困難だ。
でも、彼は「イケる!」と思っていた。
メルヘンだからだ。
本当のCojiCojiだ。
 
テーマは危機的な環境問題への保護の訴えと
なかなかなものだったが
なぜか、その具体的な手段になるとメルヘンだった。
保護したい環境も、彼のメルヘン世界で大事な
ものだった、ということなのかもしれない。
まず、そのネーミング元にもなった
とにかくインパクトの強い
「風船」という手段は
おじさんが高校生の頃見た
無声フランス映画「赤い風船」からきている。
映画マニアである僕の親父の好きな映画ベスト5に
入るだろうこの映画は、僕もベスト20に入ると思う。
昔の日本の都市のイメージで「夢」を象徴する
デパートの上に上がるアドバルーン製作会社製の
風船ってとこが、彼の哲学だ。
ゴンドラだって、桧だった。
江戸川の桶職人が作った桧のゴンドラだ。
アドバルーンに浴槽を付けたような
昭和日本的な乗り物だ。
シャトルにはほど遠いが、夢は乗せている。
普通、重量の調整(これが冒険のキィになる)に
「重石」を使うのだが、彼はなんと
「沖縄焼酎「どなん」」をビニール袋に詰めた。
ただの飲みたがりの合理性だ。
っていうか、命がかかっているからすごい。
ここにも夢がある。
腰の強い焼酎でさぞかし夢心地だったろう。
そして、彼はIT派だった。
普通、無線機を持っていくところを
携帯電話で出かけていった。
当たり前だが、アメリカへのローミングサービスなど
やっていない。
つうか、今日でさえ、NTT Docomoのバカ機械は
できていない。
その携帯電話がある意味命取りになってしまった。
高度1万メートルではIT革命が進んでいなかった。
 
彼は何処を冒険していたのだろう。
何が彼を冒険させたのだろう。
 
それは、彼が「生きていく」ためのものだった
のではないだろうか。
あのつまらない息苦しい世の中で。
それは、自分の哲学のアドベンチャーだった。
そんなことがうまくいかないようじゃ
あの世の中では生きていけなかったのではないか。
僕も精神的にとても辛い時期だったので
なんだか、その思想と行動に頷けた。
というか、いろいろともらってしまった。
 
今日現在、彼の声は聞こえてこない。
だけど、僕の頭の宇宙を笑顔で飛んでいる。
風船おじさん。
 
借金に対する生命保険とかいう
くだらない報道が当時「嫌」と言う程なされていた。
本当に「嫌」だった。
ファック!
そんなヤツはどっかへいなくなれ!
つまんない世の中に勝手にもっていくな。
今日も彼の奥さんは生存を信じて
左手の薬指に結婚指輪をはめているという。
だから、死亡届は出ておらず
もちろん、生命保険など請求すらしていない。
奥さんの宇宙には永遠に彼が勇気と希望を
もたらし続けながら飛び続けているだろう。
 
今から7年前、おじさんは飛び立っていった。
僕は大きなものをもらった。
 
その約3ケ月後、やっていた開発会社をたたみ
独立宣言しWARPを作った。
WARPの一番最初の3DOソフトの
表紙をめくったところには
「風船おじさんに捧げる」と1ページ使って
大きく書かれている。
 
それから7年。
僕はまた、ちょっと疲れているのかもしれない。
だから、思い出した。
僕の中のアストロノーツを。
そして、今月末にはリアルなアストロノーツと
ディスカッションだ。
僕はアストロノーツである彼女に
「風船おじさん」の話をしてみようと思う。
 
何かのシンクロを感じるからだ。
だって、彼の夢と希望が詰まっっていた
アドバルーン製作会社産のその塩化ビニール風船の
中に、本当に詰まっていた大量のヘリウムガスは
そのディスカッション会場である
同志社大学から買ったものだからだ。
誰か、同志社大学にメルヘンとファンタジーに対する
大きな理解者がいるのだろうか?
 
さて、もう16日、風船の日まで後1週間。
風船おじさんは
今日はどこを飛んでいるのだろう?
 
みなさんの頭の中には誰か、何かが飛んでいますか?

TOPICSBOOK

アランジアロンゾがキャラクターの描き方についての本を発売しました。

わたしだけのマイキャラクターの描き方
[本]わたしだけのマイキャラクターの描き方/アランジアロンゾ(amazon)
大和出版 2013.11.16発売 1200円+税
ISBN:978-4-8047-6224-1

アランジアロンゾと言えば、愛知万博の「モリゾー&キッコロ」やたまごクラブ・ひよこクラブの「たまちゃん」「ひよちゃん」など、有名なキャラクターもいろいろと手掛けていますが、この本にはそういったヒットキャラクターを生み出すノウハウが書かれている…、というわけではありません。

この本で書かれているのは自分だけの”マイキャラクター”の描き方。らくがきを描くように自分だけのキャラクターを楽しみながらどんどん作っちゃおうっていうスタンスの本なんですね。

なので特別な手法が書かれているわけではないんだけど、適当な落書きをベースにしながらちょっとしたステップを踏んでいくことで、自分の中にある世界やバリエーションを広げていくことができるよってことがさっくりと説明されていて、「キャラクターを作るのってこんなに簡単でいいんだ!」と背中を押してくれる内容になっています。

この本では何度も、面倒なことは考えなくてOK! 下手で大丈夫! と書かれています。
本来ならクリエイティブな行為って頭を使うし、センスも技術も、それから根気もそれなりに必要だったりします。
でも、キャラクターを作るっていう行為については必ずしも当てはまらないっていうか、もちろん、多くの人にメッセージを発信するための目的を持ったキャラクターを作ろうってなると、全然違うんだろうとは思うんですが、基本的にフリーダムじゃないですか。誰でも作れて、自由で楽しくてかわいくて…っていう、「キャラクター」のそういうところが好きだったんだよねと、そんな気持ちを改めて呼び起こしてくれました。

あと、本の中ではアランジキャラの描き方を解説したページやよむらさんが子供の頃作ったキャラクターを紹介したページなんかもあったりして、ファンの方なら更に楽しめますので要チェックです。

[本]わたしだけのマイキャラクターの描き方(出版社の紹介ページ)…出版社の公式ツイッターによると、以下の書店で販売されている初版本には表紙になってる「たれみみちゃん」のオリジナルポストカードがついてくるそうです。近所の本屋で買った後に気づいたよ…。

【首都圏】紀伊國屋書店豊洲店・新宿店、旭屋池袋店、紀伊国屋ららぽーと横浜店、有隣堂ルミネ横浜店
【東北】紀伊国屋仙台店
【関西】紀伊国屋梅田店、旭屋天王寺MIO店
【中国】紀伊国屋広島店

アランジネット(アランジアロンゾ公式サイト)

おまけ・最近のアランジアロンゾの本(リンクはAmazon)
[本]アランジアロンゾ…宝島社のバッグ付きムック
[本]ミミ&リリ フエルトマスコット大作戦…ストーリー仕立てでマスコットの作り方を掲載。メディアファクトリーより。
[本]フェルトのこもの…フェルト小物の作り方の本。文化出版局より。

[本]カッパでもどうにかやっている/アランジアロンゾ(2007.4.2)

MEMO

■年々元気になっていく不思議なおじいちゃんだったやなせたかしさんがお亡くなりになりました。94歳、大往生です。だけど、やっぱり悲しいです。

やなせたかしさん :アンパンマンの生みの親、94歳で死去

やなせさんにまつわるエピソードをいろいろ思い浮かべるんですが、面白い話が多いので、気がつくと笑ってしまったり。死んだのに、悲しいのに笑わせてくれるやなせさん、すごいです。

個人的に好きなエピソードといえば、新宿が好きでずっと住んでいたという話。年をとると新宿のような賑やかな繁華街って避けそうに思うんだけど、ネオンがきらきら光って綺麗なので好きだったっていうんですよね。やっぱり感性が違うんだなぁと。

あと印象深いのは、やなせさんが脚本・演出、更には出演・歌まで手掛けたミュージカルを2回見に行ったことです。2回目を見に行ったときのことはここでレポートも書きました。

やなせたかし脚本&出演のミュージカル「白雪姫と人魚王子」レポ(2004.12.16)

下手っぴな文章で申し訳ないけど、その内容の凄まじさの片鱗は伝わるんじゃないかと思います。いや、本当にすごかったんですよこれ。やなせさんの歌もね、生で聞くとパワフルとかソウルフルとかそんな言葉じゃ足りないくらいの迫力なんですよ。もうホント、魂の叫び。こんなにはち切れんばかりの生命力を体中から溢れさせている人っているんだと衝撃でした。

ちなみにもうひとつの方のミュージカル、「赤ヅキンちゃんと狼男」はレポートを書きそびれていたんですが、これにはちょっとだけ理由があって。岡崎裕美さんからだったと思うんだけど、僕、ステージ上から何度もいじられてしまったんですよね(笑)。というのも、開演直前に当日券買って会場に入ったら席が最前列しか空いてなくて。それでやっぱり、ぽつんと若者(←当時)がいるのがステージ上からでも目立ってしまったらしく、アドリブ客いじりの対象になっちゃったのでした(どんないじり方だったか忘れたけど「あなた、私のことが好きなのね!?」みたいな感じだった(笑))。一方的に絡まれるだけだったけど、そのタイミングが絶妙で、会場も僕が絡まれるたびに大受けだったんですよ。

終演後にやなせさんが「今日のステージはよかった」って感想を言ってて、僕もまるで参加者の1人のように嬉しくなっちゃったりしたんだけど、これを文章にまとめるのは恥ずかしすぎるという理由で書けなかったんですよね。今更だけど、そんなことを思い出したので書いてみました。

いつも元気で、すごい人でした。天国に行ってもこれからもずっとみんなを元気にしてくれるんじゃないかな? と思います。

MEMO

■そろそろ何か書こうかなと思いながらうだうだしていたらもう8月も終わりになっちゃいました。うだうだうだうだ……。はっ! またうだうだしてしまいました。

今、何かについて触れるとしたら、やっぱり「ふなっしー」についてだよね、なんて思っています。最初に見たときはゆるキャラ界もついに”終わりの始まり”がやってきたのか!? なんて思ったものですが、気づけば普通に世間に受け入れられてブレイクして、テレビにも引っ張りだこだったりするんだからすごいもんですよね。この前も「行列~」に出ているのを見たけど、ゆるキャラというか普通に面白いタレントでしたもんね。そこらの芸人なんかよりよっぽど安定して笑いも取ってたし。すごいよね~。

ただ、テレビってやっぱり消費のメディアだから、半年先がどうなってるのか分からないじゃないですか。そこがちょっと不安ですけどね…。こういうメディアでの一発屋芸人的な消費のされ方に対して、ゆるキャラファンの人達や携わっている人達はどう思っているんだろうってあたりが気になります。

また時間があるときにでもまとめて書いてみますね。

■あと全然話が変わるんですけど、今年に入って体重が減り続けているんですよね…。理由としてはいろいろ思い当たる節はあるのでいいんですけど、5~6年くらい前のいちばん太ってた頃は68kgくらいあったのに、今年の5月に量ったら55kgになってて。さっき量ったら更に減って53kgになってました。こんな数字見たのいつ以来だろう…。高校? 中学?

もうちょっとちゃんとしたものを食べようと思います…。