TOPICSアニメ,レポート

僕の大好きなアニメーション監督である湯浅政明さんの作品をオールナイトで上映するという神のような企画があると聞いて行って参りました。

「新文芸坐×アニメスタイルセレクション Vol.9 初心者のための? 湯浅政明」と題されたその企画は、WEB雑誌の「アニメスタイル」と池袋にある名画座「新文芸坐」が共同で企画するアニメーション上映イベントの第9弾として開催されたもので、以下の長編作品2本を含む5作品(+α)が上映されました。

「カイバ」OP(2008、原作・監督・シリーズ構成)
「四畳半神話大系」PV(2010、監督)
「ケモノヅメ」1~2話(2006、原作・監督・シリーズ構成)
「音響生命体ノイズマン」(1997、キャラクターデザイン・設定デザイン・作画監督)
「なんちゃってバンパイヤン」(1999、監督・絵コンテ・レイアウト)
「クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望」(1995、設定デザイン・原画)
「マインド・ゲーム」(2004、監督・脚本・絵コンテ)
※()内は公開年と湯浅さんの担当箇所

上映に先駆けて行われた湯浅さんとアニメスタイル編集長、小黒祐一郎さんのトークイベントではこれらの作品について振り返りつつ、今後の展望などを尋ねるものになっていました(以下、ほぼ記憶のみでその内容を書き綴っているのでいろいろ違っているところがあるかもしれませんのであらかじめご容赦ください)。

まず、今回のセレクトについて小黒さんから、「本当はもっと分かりやいタイトルを並べる予定だったが、上映許可等の関係でマニアックなラインナップになってしまい、イベント名に「?」を付けることにした」との説明がありました。この分かりにくい、分かりやすいという話はトーク中に何度か出てきたと思うんですが、湯浅さん的には分かりにくい作品を作っているという意図はなく、監督をするようになってからは試行錯誤しながらやっているので、これからもより分かりやすく、楽しいものを作っていきたい、とのことでした。

初監督長編作品の「マインド・ゲーム」ではストーリーがないという感想が多かったのが意外だったと。自分が観客のときは、展開があれば見られるんだけど、みんなは見てるところが違うんだろうかと疑問を持ったそうです。

対する「四畳半神話大系」は終わり方もちゃんとしていて、きっちりストーリーがまとまった作品になったけど、湯浅さん的には伏線を仕掛けてただ回収するのなんて全然面白いとは思っていなかったんだとか。でもそれだけで反応があって新鮮だったそうです。

湯浅さんが手掛ける作品は、一般的なアニメと比べると見た目がアートっぽい印象を受けることを尋ねられると、好きなようにやっているとそうなっただけで、アートというか自分としては「誰でもピカソ」くらいな感じでやっていると謙遜(?)されていました。

「マインド・ゲーム」では3次元の人間の映像をアニメの中に混ぜ込んでしまうという特徴的な表現がありましたが、その後「空中ブランコ」というテレビアニメで似たような表現があったことについて、小黒さんが「空中~」の監督に尋ねてみたことがあったそうなんですが、その方は「マインド~」を見たことがなかったそうで、「知っていたらああいう表現は採用しなかった」と言われたとのこと。偶然だったんですね。

似ているという話では、「マインド~」を日本での上映の数年後にフランスの映画祭に持っていったことがあったそうなんですが、そのときに現地の人からは「パプリカに似てますね」と言われてしまったんだとか。公開はこっちの方が先なんだって! と、ちょっと悔しい思いをしたそうです。

また、小黒さんによると「四畳半~」にはシャフトというアニメ制作会社の作る雰囲気に似ていると言われることがあるとか。湯浅さん的には特に気にしていない様子でしたが。

あと「ケモノヅメ」の話としては、「時をかける少女」(だったかな?)にくっついて、ボローニャ(だったっけ? このへんあやふやです)の映画祭で上映したことがあったそうなんですが、そのときには日本によくあるようなバイオレンスなアニメの1つと取られてしまって残念だったと語っていました。そういう作品ともまた違うと思うんだけど、と。

最後に小黒さんは、「湯浅さんにはもっとメジャーになって欲しい!」と。今回のようなイベントも1度だけにしたくないし、今回はラインナップに入らなかった「ねこぢる草」(2001、脚本・演出、作画監督)や「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」(1992、一部音楽シーンの演出、作画など)も上映したいし、「マインド・ゲーム」は毎年上映したいなどといった抱負も語ってくれました。
 

さて、ここから上映作品の感想をざっくりと。まず今回上映の5作品の中で見たことあるのは恥ずかしながら「マインド・ゲーム」だけだったりします。好きなら「ケモノヅメ」くらい見とけ、ってな話ですが、ちょっと取っつきにくそうなイメージがあってまだ見てなかったんですよね。上映された2話まで見た感じだと、同じくWOWOWで放送された「カイバ」よりもしっかりしたストーリーが展開されている印象を受けました。取っつきにくさが払拭されたので、残りも早めに見ようと思います。

「音響生命体ノイズマン」はSTUDIO4℃の森本晃司さん監督の短編作品なんですが、なんなんだこれは! と、心底ビビりました。世界設定やキャラクターなど、綿密に構築されているのに、まるで暴走列車のように怒濤の勢いで進行していくストーリー展開によって、結果初見ではほとんど理解不能の得体の知れない映像作品となっています。元々DVD向けに企画されたものらしいですが、まだDVDなんて誰も持ってない1997年公開というのもすごいです。そのDVDは現在入手困難だそうですが、欲しいなぁ。再販してほしいです。
あとテーマ曲を歌ってるのがデビュー前(11歳頃?)のクリスタル・ケイなのにもびっくり。さすがに声が全然違うね。

「なんちゃってバンパイヤン」は後に制作されたテレビアニメ「バンパイヤン・キッズ」の元になったパイロットフィルム。子供向け作品らしく可愛らしい絵柄なんだけど、実際に子供が見るとちょっとトラウマになりそうなきわどい表現もふんだんに盛り込まれていて楽しかったです。

「クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望」は劇場版しんちゃんとしては3作目となる作品。地図のシーンの次の場面からが湯浅さんが原画を担当したシーンとのことで注目しながら見てましたが、確かに特徴的というか、変わった動きをし始めますね。こういう見方で作品を見るのもちょっと楽しいです。

そして「マインド・ゲーム」。数年振りにスクリーンで見ましたが、やっぱり最高でした。1シーン、いや1フレームすら無駄のない完全無欠な作品であることを再確認。ホントに毎年上映されるのなら、毎回見に行きますよ。

ポスター
▲ロビーにはポスターが飾ってありました。

「マインド・ゲーム」のポスター
▲「マインド・ゲーム」のポスター。

湯浅政明さんのサイン1
▲湯浅さんのサイン色紙。左は「マインド・ゲーム」に登場するタイムボーイ。右はオムニバス映画「GENIUS PARTY」内の1本として制作された「夢みるキカイ」のもの。

湯浅政明さんのサイン2
▲そして「四畳半神話大系」の小津です。

フライヤー
▲そして配布されたフライヤーには私とジョニー。

WEBアニメスタイル…8/21には「四畳半神話大系」全11話をオールナイトで上映するイベントも開催。湯浅さんと脚本を担当した上田誠さんのトークショーも開催予定です。
○○←カイバ・ケモノヅメ(湯浅政明)…MADHOUSEのサイト内にある湯浅さんのコラムコーナー。一応毎週更新の気持ちでやってるらしいです。

[DVD]四畳半神話体系(2010.5.14)

TOPICSグッズ

僕は「MOTHER」というゲームシリーズがけっこう、というかかなり、いやそこそこ? とにかく大好きなのですが、最近どういうわけかバンプレストからプライズグッズがリリースされているんですよね。シリーズとしてはもう完結して随分経つのになんで? と気になりつつも今のところはどうにかスルーできていたんですが今回ばかりは突撃せざるを得ないかもしれません。

MOTHERシリーズフィギュアコレクション

なんとMOTHER1と2の主人公や脇役たちのフィギュアが8月から7ヶ月連続で登場するんですね。しかも説明書などに掲載されていたフィギュアを完全再現しているじゃありませんか。今になってこんなファン垂涎グッズが登場するとはびっくりですよ。

取扱店舗などの詳細はまだ記載されていないので続報にも注目ですが、正直プライズグッズとしてじゃなくて一般販売してくれたらいいのに…なんて思ってしまいました。とにかく今から実物を見るのが楽しみです。

[おまけ]
MOTHER2のキャラは以前にも立体になっていたような…と思い返してみると、そういえば2003年にコミュニティストアというコンビニチェーン限定でペットボトル飲料のおまけとしてミニフィギュアがついてきたことがありました。せっかくなのでそのとき集めたものを引っ張り出してきました。

MOTHERミニフィギュア1  

MOTHERミニフィギュア2
▲クオリティとしてはあくまでおまけレベルだけど、それでも嬉しかったな~。ちなみにジェフやプーはいませんが、集め損なったのではなくて元々この6キャラのみの展開でした。左奥は「MOTHER3」サントラの初回特典、「おしのびどせいさんストラップ」です。

どせいさんぬいぐるみ
▲そして「どせいさんの本」に圧縮封入されていたぬいぐるみもついでに紹介。17cmくらいあります(頭の毛含まず)。

コミュニティ・ストアでコカコーラ製品を買うと「MOTHER1+2」フィギュアがついてくるキャンペーン(2003.8.24)

TOPICSキャラ絵本

2009年5月からWeb上で連載されている「リラックマ」の4コマならぬ”4クママンガ”が書籍になりました。

リラックマ4クママンガ1
[本]リラックマ4クママンガ 1/コンドウアキ(amazon)

主婦と生活社 2010.7.16発売 840円
ISBN:978-4-391-13933-4

リラックマの書籍といえば「リラックマ生活」シリーズがありますが、あの本はイラストと短い文で構成されていて、ストーリー的なものはありませんでしたが、今回は4コマとは言えリラックマたちの生活がダイレクトに描かれているという点で画期的であると言えます。

最初に「リラックマ生活」シリーズが発売された際に僕は「みかんぼうや」(amazon)のような作品を期待していたので、物語として描かれていないことにちょっと残念な気持ちだったのですが、その後に見た作者のコウドウアキさんのインタビューには、キャラクターにぴったりな表現方法を考えた末、敢えてこういう形態にした、というようなことが書かれていたのでした。
リラックマの場合、最初から詳しく語ってしまうよりもより多くの謎を残したまま展開していった方がいい、ということだったんだと思いますが、それを読んだ当時としては分かったような分からないような気持ちでした。
でも結果としてあのシリーズはキャラクターブックとしては異例の大ベストセラーとなったことはみなさんご存知のとおりです。

今回新しく4コマという形態で描いた経緯については、新刊JPというサイトに掲載されたインタビューにて、7年目を迎えたので、「そろそろクマたちの生活をかいま見せることで新しい楽しさもうまれるかなー」と思って描いた、と書かれていました。

あれから7年の時を経て、僕が最初に望んでいたような作品がようやく登場となったわけですが、素直に楽しむには既に「リラックマ」と言うキャラクターは立派になり過ぎたような気もしていたのでした。でも、読むとそんなことはどーでもよくなり、やっぱりコンドウさんの描く4コマって大好きだー! と思うと同時に、長期的な広がりを見据えた展開に驚くばかりなのでした。

リラックマが4コママンガに 生みの親・コンドウアキさんにインタビュー(新刊JP 2010.7.16)

[本]リラックマ4クママンガ 1(出版社の紹介ページ)
リラックマ 4クママンガ(公式サイト)

リラックマのお手作りバーガー(2009.2.26)

TOPICSキャラ絵本

80~90年代頃にお菓子のキャラクターとして人気だった「ぬ~ぼ~」の絵本が発売されているので紹介です。

ぬ~ぼ~なこころ
[本]ぬ~ぼ~なこころ/たちのけいこ(amazon)

主婦と生活社 2010.6.18
ISBN:978-4-391-13902-0

「ぬ~ぼ~」は森永製菓が発売していた同名のチョコレート菓子のキャラクターだったんですが、90年代半ばに販売終了したためキャラクターとしての「ぬ~ぼ~」も見ることはありませんでした。ところが、2008年に突如としてキャラクター単体で復活し、新たな活動がスタートしたのでした。これまではWebを中心とした展開だったのですが、今回はじめて絵本化されたというのがこの本です。

内容としては4コマ漫画をメインとした構成になっているんですが、この4コマがけっこうすごいです。4つの絵にほとんど動きがないんだもん! 3コマ目までほとんど同じ絵にして敢えて平坦な展開にするというパターンは、描き方の1つとしてはあるにはあるんだと思いますが、ここまでどの4コマも…っていうのは珍しいんじゃないでしょうか。ただ、それにより「ぬ~ぼ~」の持っているふわふわした世界観がすごく描かれていて、言い知れぬのんびり感に包まれてしまいました。

とにかくのんびりしたい方にはうってつけの絵本と言えるかもしれません。ぬ~ぼ~にはこれからも他のキャラにはないのんびり感を武器に活躍していってもらいたいものです。

[本]ぬ~ぼ~なこころ(出版社の紹介ページ)
ぬ~ぼ~なこころ(公式サイト)…こちらで少しだけ中身が見られます。

TOPICS

表参道にあるキデイランド原宿店が建て替えのため8月末で閉店するそうです。新規店舗は2012年夏オープン予定で、その間の仮営業店舗については現在検討中とのこと。

キデイランド原宿店は玩具はもちろん、キャラクターグッズのショップとしても全国的に知名度があり、流行にも影響を与える存在でもあるので、一時的にしろ閉店してしまうのはちょっぴり寂しい話ですね。でも、この出口の見えない不況の中、建て替えでパワーアップを図るというのはすごいです。

現在の場所にキデイランド(の前身となる書店)ができたのが1950年(昭和25年)というから、もう60年にもなるんですね。今回の建て替えにより、土地は三菱商事に売却し、同社が新築したビルを一棟借りし、テナント入居する形を取るそうですが、これは更に将来、別の場所へ移転しやすくするためと言うよりも、おそらく資産を土地ではなく別のところで活用するのが目的なのかもしれませんね。やっぱり今の場所に相当な思い入れがありそうですし。

2年先というのはちょっと長いですが、パワーアップしたキデイランドに訪れる日を今から楽しみにしたいと思います。

キデイランド(公式サイト)…外国人観光客の来店も多い同店らしく、日本語に加え英語、中国語、韓国語の4ヶ国語で建て替えの案内が掲載されています。
キディランド原宿店、建替えのため8 月で営業を終了(MarkeZine 2010.6.11)
[PDF]キデイランド原宿店建替えに関するお知らせ(タカラトミー プレスリリース 2010.6.10)…PDFです。1960年当時の写真が掲載されていますが、隣はパン屋さんだったんでしょうか。素朴さ漂う街並みです。

TOPICS雑誌

本日発売の隔月刊誌「イラストレーション」最新号にて、studio crocodile(スタジオクロコダイル)の特集があるとのことで紹介です。

イラストレーション 2010年07月号
[雑誌]イラストレーション 2010年07月号(amazon)

玄光社 2010.5.27発売 1600円

スタジオクロコダイルと言われてもピンとこない人でも↑の表紙イラストを見ると「ああ、あれか」と思う方もいるのでは。「低燃費少女ハイジ」や「The world of GOLDEN EGGS」を手掛けた文原聡さんが率いるスタジオです。制作にまつわるインタビューなどが掲載されているそうですが、この方ってメディアに登場したところをあまり見たことがないので、一体どんな人がこういう作品を生み出しているのかちょっと楽しみです。

他にも「山村浩二が選ぶ世界のアニメーション15」という特集や、100%ORANGEが手掛けた新潮文庫「Yonda?」のアニメーションについてのページなどもあるようなので、あわせて要チェックです。

イラストレーション 2010年07月号 no.184(出版社の紹介ページ)
studio crocodile(公式サイト)

安室奈美恵、「The World of GOLDEN EGGS」とコラボ(2007.6.27)
[雑誌]イラストレーションNo.162、特集 立本倫子 colobockle(2006.9.29)