MEMO

■先日話題にしたリラックマのパチスロの件の中で、サンエックスが作者のコンドウアキさんへこのことを事前に知らせていなかったことについて、「理解はできるんだけど~」と書いていたんですが、このあたりの部分をもうちょっと詳しく書きたくなったので補足的に書いてみます(注意:やたら長くなった割にたいしたことは書いていないので暇じゃない人は読まない方がいいです)。

今回の件のネットでの反応を見ていると、「作者が知らなかったなんてありえない」とか、「なぜ大事なキャラクターを会社に任せっきりにしていたのか」的な意見を目にすることがあったんですが、これはねー、たぶん本当に知らなかったんだと思うし、ある意味仕方のない話なんですよね。だって、リラックマってコンドウさんがサンエックスの社員時代に生み出したキャラクターなんだから、一切の権利を会社が持っているのが当然なんですよね。普通、社員が会社の仕事として生み出した創作物の版権をその社員へ与えるなんてこと、しないと思うので。

それに、本来なら社員が会社を辞めてフリーになったら、その時点で社員時代に手掛けたモノとは関われなくなるのが普通だと思うんですよね。

例えばサンリオだと、キャラクターの作者が会社を辞めると別の社員デザイナーが2代目作者としてそのキャラクターを引き継いでいます。キティの作者としてメディアに登場している山口裕子さんも実は3代目デザイナーで、生みの親は清水侑子さんだし、マイメロディの作者、小林久美子さんも7代目だそうです。

あとジャンルは違いますが僕の知っている例として、任天堂の「星のカービィ」の作者、桜井政博さんのパターン。桜井さんも現在は制作会社を辞めてフリーになっていますが、今も任天堂とは引き続き共同でゲームを制作する関係にあるんですね。それでも、昨年発売された「毛糸のカービィ」という作品については、「作っていることすら知らされなかった」とTwitterでつぶやかれています。

例えば清水さんや桜井さんが、今のキティやカービィを見て「イメージと違う」と会社へ文句を言ったとしても聞き入れてもらえないと思うし、おそらく今後のことは何も言わない契約の元、退社されているんだと思います。

ここでリラックマに話を戻しますが、実はリラックマの場合はキティやカービィとは状況が違います。社員だったデザイナーがフリーになってからも引き続き関わっていますもんね。
これは、例えるならテレビ局のアナウンサーが会社を辞めてフリーになってからも、引き続き社員時代に担当していた番組に出演しているような状態に似ていると言えば分かりやすいかな? と思ったのですが、実際のところちょっと違うのかもしれません。

コンドウさんはリラックマの作者として、サンエックスとのお仕事を継続されていますが、「キャラクターの作者」と呼ばれる人が具体的にどんなことをしていて、どんな権限を持っているのかがはっきりと想像できないんですよね。

これが漫画の作者だったら―。今回の件でも「鳥山明さんはドラゴンボールのパチンコ化の話が来ても絶対に断っている」という都市伝説的な話が引き合いに出されているのを見かけましたが、漫画と作者の関係は分かりやすいんですよね。単純に漫画を描いている人が作者だから。それに漫画家って基本的に元々フリーなんですよ。鳥山さんはジャンプの漫画家だからおそらく集英社と専属契約を結んでいるんだと思いますが、でも集英社の社員ではないですよね。「ドラゴンボール」の関連グッズに記載されている著作権表記を見ても
「(c)バードスタジオ/集英社・東映アニメーション」
のように、ちゃんと鳥山さんの事務所の名前が併記されています。

著作権表記は本にもあって、漫画本でも、漫画に限らず小説でも何でもいいんだけど、通常は本の奥付のところに「(c)○○」と作者の名前が書かれています。
でもサンエックスのキャラクター絵本のように、社員が手掛けた書籍の場合、表紙に作者名が書かれていたとしても著作権表記はやっぱり社名のみになってるんですよね。

社員時代のコンドウさんは、表紙に自分の名前が書かれているものの、実際は会社が発売する"本というグッズ"を仕事として手掛けたわけです。
そしてフリーになってからのコンドウさんは、言葉が正しいかどうかはわかりませんが、あくまで外注のデザイナーという立場でサンエックスから依頼を受けて、1冊丸ごと分のイラストと文章を書いたということになります。

本に限らず、他のグッズなどのお仕事でも、イラストなどのデザインや監修をされていたんじゃないかと思うんですが、今回の件で、コンドウさんがプロジェクトの方針を決めるリーダー的な立場や、その決定を知るような立場として招かれているのではなく、あくまで外部のデザイナーとして関わっていることがはっきりしたと言えます。

「作者」と聞くと、漫画家のように、その作品の方向性を決める一定の権利を持っているように思えるんだけど、リラックマの場合はそれが当てはまらず、コンドウさんに対しても、サンエックスに対しても誤解が生じてしまっているのが、今回の問題を大きくしている原因ような気がしたのでした。

それにしても、本の表紙に作者として名前が出ているのに、コンドウさんの立場が弱すぎるんじゃという気もしてきますが、でも僕は逆に、ちゃんと表紙に作者名を記載するのは偉いなと思っていたんですよね。(度々引き合いに出してなんですが)サンリオが発売するキャラクター絵本には作者名、記載していないですからね。

サンエックスにはキャラクターの作者が退社してフリーになった後もその人に引き続き仕事を依頼するケースがリラックマの他にもいくつかありますが、そういう方針も、「サンエックスは作者のセンスや個性を大切にしているからなんだろうなぁ」と好意的に受け止めていました。

ただ、一旦こういう問題が発生してしまうと、作者は実際の立場を上回る批判を受けなければいけなくなるし、会社の方も、作者という立場の人が外部に存在する限りは、その人と意思の疎通をしていないとやはり批判を受けてしまうんですね。

今回、コンドウさんがブログでコメントを発表しましたが、あれはかなりの勇気を持ってされたんだと思います。だって、仕事を受けている会社の評判を落とすことになるかもしれないし、そうなったら最悪、切られる可能性だってあるわけですから。

サンエックスはおそらくコンドウさんに反対されるとややこしいので、後戻りできなくなるところまで黙っていたんだと思いますが、やっぱりそういうのはファンを含めて誰も得しない! というのが今回の教訓なんじゃないでしょうか。

TOPICS

遊技機メーカーのオーイズミが2月16日に開催した発表会の場でパチスロ機「ハネスロ リラックマ」を発表、初心者向けの機種として4月下旬より展開されることが明らかにされました。サンエックスの人気キャラクターがパチスロになるということで、ファンを中心にちょっとした物議を醸しているようです。

パチンコ業界はこれまでにもアニメや漫画のキャラクターを採用した機種を数多く展開していますが、「リラックマ」というのは僕も予想外すぎてびっくらしました。ファンシーキャラクターがパチンコ台になった例としては、サンリオの「けろけろけろっぴ」や、ソニー・クリエイティブプロダクツの「タマ&フレンズ」(←これはアニメ作品をベースにしたもの)などを思い浮かべますが、いずれの場合にしてももうあまりグッズなどが製作されていないような、ある意味”終わった”キャラクターに限られていたんですよね。対して、リラックマと言えばサンエックスの看板キャラクターであり、現役バリバリで老若男女から愛されている存在です。

パチンコそのものについては今のところ日本では合法と言うことになっているらしいので、そのものの是非については置いておくとしても、ある作品がパチンコ化されると、「あー、一段落ちたところに行ったんだな」という感想を抱く人って僕だけじゃないと思います。

例外として、例えば「倖田來未」のように、イメージにぴったりな感じがして現役歌手でありながらも特にイメージダウンに繋がらないパターンもあったりします。前々からサンエックスは「リラックマのメインターゲットは大人の女性」と言っていましたが、社内から見たリラックマのイメージって、倖田來未さんみたいな感じだったんでしょうかね~。

ちなみに、リラックマ作者のコンドウアキさんのブログによると、このことは事前に知らされておらず、ファンの方からの連絡で知ったとのこと。確かに、いちいち今後の展開を作者へ知らせる義務はないという点は理解できるんだけど、それにしてもドライな関係なんだなと思ったり。いろいろと釈然としないニュースなのでした。
 

あの大人気キャラが癒してくれる『ハネスロ リラックマ』が発表!(777@nifty 2011.2.17)
ハネスロ リラックマ(公式サイト)

リラックマに学ぶ! 売上を上げ続けるブランド施策(経営企画室 2010.9.17)…以前紹介したサンエックス黒田さんのお話。リラックマの次なるステップは「大人の女性が常に身につけていてお洒落であり、ステータスのあるブランドへと育成させていく」こととありますが…。

[本]リラックマFAN(2010.8.13)
パチンコになったら(2009.3.2)…うまい棒がパチスロになったときに書いたMEMOです。

MEMO

■昨日、姉から電話が掛かってきて、「ショックなことがあった!」と言うので、「あれだろ、ホンマでっかの門倉さんの件だろー」と言ってみたところ、正解でした。どうですか、この僕の透視能力は。というか普段テレビの話ばっかりしてるから、だいたいのことは予想付くだけなんですけどね。

「ホンマでっか!? TV」を評論家の門倉氏が出演辞退、ブログで不満爆発。

この件は、僕も「ホンマでっか!? TV」大好きなのでショックでした。まさかあの門倉さんがこんな風に思っていたなんて! でも、ここまで不満があるというのなら、今後の出演は辞退した方がよさそうですね。というか、ここまで思っていながらよく今まで出演していたな…と思いましたです。

今回批判のやり玉にあげられている澤口さんは、番組出演者の中では僕のいちばん好きな人なんですが、確かにびっくりするくらい協調性に欠けてますもんね。ここまで人の気持ちがわからない人も珍しいんじゃないかっていうくらい。でもそこが面白いんですよね。特に太田光代がゲストで来た回は涙が出るほど爆笑しましたもん。

僕も姉も太田光代好きなので、あのときも電話で話したんですが、姉は僕と逆で、「怒りで本気でフジテレビに苦情の電話掛けようかと思った」と言っていて、やっぱり受け取る人によって感じ方も違うんだなぁと思いました。まああの時は、不妊という非常にデリケートなテーマが絡んでくる話をネタにしていたので、反応としてはそっちの方が当然だよなぁとは思ったんですけど。やっぱり澤口さんってテレビに出したらいけない人なんでしょうか。

TOPICSGAME

もうすぐ3DSが発売されるこの時期にDSのソフトを買うのもなー、なんて思っていたけど結局買っちゃいましたよ。このソフト。

ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート
[DS]ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート(amazon)
コナミデジタルエンタテインメント 2010.1.27発売 3980円

このゲームは主人公・マックスウェルが持っている、思いのままにほしい物が出せるという不思議なノートを使って、ステージ上にいろんなアイテムを出現させ問題を解いていくというアクションパズルゲームです。欲しいと思った物の名前を実際にタッチペンで入力して画面に出すという特徴的なゲームシステムが採用されています。

元々「Scribblenauts(スクリブルノーツ)」というタイトルで海外で発売されていて、その斬新さから国内でも密かに注目を集めていたんですが、2万語もの単語が収録されているという関係から、日本語での発売は困難と言われていたんですよね。ところがこの度コナミの手によりローカライズされ、無事日本版が発売されたのでした。一時期海外版を買ってみようかと悩んでいた僕としてはコナミに感謝です。

実際に遊んでみた感想としては、「予想してたよりおもしろい! 楽しい!」です。どんなアイテムでも最初から出せるなら、なんでもありの大味な内容になっちゃうんじゃないの? という不安があったんですが、そう簡単に好きなようにはさせてもらえない絶妙なステージ構成になっていたりして、「あれ、これどうやってクリアすればいいんだ?」と頭を悩ますこともしばしば。確かにヒラメキとセンスがしっかり問われる内容になっていました。

ただ、そうは言ってもやたら万能なアイテムも中にはあって、気がついたら同じアイテムを使ってごり押しクリアばっかりしちゃってる…なんてこともあるんですが、コンプリートを目指すには同じステージを違うアイテムを使って3回クリアしないといけないみたいなので、どっちにしろ悩むことになりそうです(ちなみに僕の場合は行き詰まったらとりあえずエアダクトさんにフーフーしてもらうパターンが多いです)。

あとこのゲーム、世界観がすっごくかわいいのもポイント高しです。海外のゲームって、どうしても絵柄が取っつきにくいっていう印象があったりしますが、あっさり顔のマックスウェルをはじめ、ほのぼのとしたグラフィックが非常によいです。こういうテイストって日本の得意分野だと思っていたけど、もうそうでもないんだなぁ、なんてちょっと寂しい気もしたり。
かと思えば、マシンガンやら手榴弾なんていう物騒なアイテムを登場させて大暴れできたりもする自由度があるところはさすが海外製です。日本じゃこの振り幅はムリでしょうね~(そのためか、これは人形の世界だよというエクスキューズが冒頭に入ってます)。

そんなわけで購入を躊躇している人がいたら、そっと背中を押してあげたくなるような、今までにない感覚が味わえるゲームに仕上がっていました。

ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート(公式サイト)
5TH Cell…開発元のサイト。海外では続編の「Super Scribblenauts」が発売されています。

MEMO

■B’zの松本さんをはじめ、日本人が4人もグラミー賞を受賞ってすごいですね。これまで日本人の受賞者って3、4人しかいなかったですもんね。一挙に倍です。

B’zで思い出したんですが、昔、姉からこんな話を聞いたことがありました。姉の友達に稲葉浩志の大ファンという女性がいて、もうそれが好きすぎて、まだ当時はネットが普及していない時代だったと思うんですが、どうやって調べたのか稲葉の自宅の住所を突き止めて、稲葉に会うことだけが目的の東京一人旅を計画したそうなんですね。

んで、実際に渋谷にある自宅の近くで1日中待ち伏せをしていたそうなんです。ずっと待っていると、なんと本当に稲葉が自宅へ向かって歩いて来るじゃありませんか。彼女は慌てて駆け寄り、「ファンなんです。握手してください!」と言ったそうです。すると稲葉は、表情1つ崩さない真顔のままで

「ありがとうございます」

と言って、握手をしてくれたんだそうです。そんな稲葉の対応に感激した彼女は、よせばいいのに、なんと翌日も自宅前での待ち伏せを敢行してしまったそうなんですね。そしてこの日も運が良かったのか、自宅へ戻る稲葉を再び目撃することができたんだそうです。ただ、ここから先が昨日とは少し違いました。彼女が話しかけようとしたところ、稲葉は彼女を見るやつかつかと歩み寄り、昨日と同じ、表情1つ崩さない真顔のままで、

「もうやめてもらえますか」

と言ったんだそうです…。
僕はこの話を聞いて、「自宅へ押しかけてくるような痛いファンにも真顔で対応する稲葉」というその光景が頭の中にありありと浮かんできて、不覚にも爆笑してしまったのですが、去年だったか、姉に「そういえば、稲葉に会いに行った友達いたんだよね~」と話を振ってみたところ、「なにそれ、知らん」と言われてしまったのです。

そんなおもしろエピソードを持った友達のことを忘れるかね? というかもしかして、姉から聞いたという部分もひっくるめて、僕が考えた想像上の話だったりして…? と、いろいろ不安になってしまったのですが、もし例えそうであったとしても、どんな状況においてもファンには真顔で対応する生真面目な人物、それが僕の中での稲葉浩志像なのであり、きっと本物の稲葉もそうに違いないという気持ちに今も変わりはないのです。

MEMOアニメ

■明日まで開催中の文化庁メディア芸術祭ですが、今年も行ってきました。その感想はまたあとで書こうと思っているんですが、昨年もそんなふうに思っていたら結局書かないままになっちゃったんですよね。

昨年、書きたかったのに書けなかったことのひとつに、アイルランド出身のアニメーション作家、デイヴィッド・オライリーが2009年に発表した「PLEASE SAY SOMETHING」という短編CGアニメーション作品について、があります。

これは受賞作品として出展されたものではなく、海外フェスティバル招聘作品の1つとして上映されたものだったんですが、もう本当に度肝を抜かれたんですよね。こんな表現があるのかと。僕はコンピュータアニメーションって嫌いじゃないし、というかむしろ好きな方だと思っていたんですね。だけど、感情を繊細に描写するための表現方法として見た場合、手描きの作品に適うはずがないという勝手な思い込みをしていたことに気づかされたのでした。

ネコとネズミのキャラクターデザインにちょっと日本的なものを感じたので、ひょっとして作者は日本人? と期待したけど、あとで確認してやっぱり違うか~、なんて思ったりも。

「おねがい なにかいって」という邦題が付けられて、日本語字幕入り動画が公開されているので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

おねがい なにかいって [日本語版]
 

そしてそんなデイヴィッド・オライリーの最新作、「The External World」がネット上でも公開されたと言うので見てみたんですが、これもすごかった。

The External World

一応ある程度筋的なものがあった前作に比べるとカオスっぷりが半端じゃないので、正確な意図を汲み取るのは困難なシーンがほとんどですが、とにかくなんだかとんでもないものを見せられた気分です。