MEMO

■先日、珍しく実家から電話がありました。何事だろうと思ったら(←こういう時ってつい誰か死んだのかなって考えてしまう)、東京は異常気象で雹が降ったり床上浸水したり停電したりと大混乱だとテレビでやってて心配したとのこと。あれは局地的なので今住んでるところでは雹も浸水も停電もなかったよー、と伝えました。

ついでに母と世間話的なこともしたのですが、

「最近おいしいもの食べた?」
「うーん、別に」
「最近どっか行った?」
「別にどこも」

みたいなやり取りがあり、最終的には「つまらん生活じゃなぁ~」と言われてしまいました…。まあ確かに、最近本当に何にもないんですよね。

下半期はもうちょっと活動的に動いてみた方がいいのかな? という感じのどうでもいい近況を報告したところでまた来月です。

MEMO

■お知らせなんですが、サイト用のメールアドレスを変更しました。概要ページに載せてますのでメールを送りたいという奇特な方はご参照ください。

ちなみに、、、その前に掲載していたメールアドレスはこの半年間くらい送れない状態になっていました…。送ってくれていた方がいたとしたら申し訳ありませんでした。今回は久しぶりに独自ドメインのアドレスを復活させましたので、サービスが停止して使えなくなるなんてことはないと思います。

あと重ねてお詫びですが、このサイトにBBSってあるの知ってました? パソコンでこのブログを見るといちばん上にリンクがあると思うんですけど、僕自身すっかりその存在を忘れていてほったらかし状態になっていました…。先日気づいて、慌てて返信させて頂きました。何ヶ月も前の書き込みに対して返信するという、片倉陽二さんの「のんきくん」の世界に迷い込んだかのような状態になってしまいましたが、今後は大丈夫だと思います。たぶん。
 

■先日、久しぶりに映画館に行って「アナと雪の女王」の3D字幕版を見てきました。 巷で話題のディズニー映画ですが、面白かったです。

(以下ネタバレ気にせず書いているので注意です)

主題歌の「Let It Go」はサビしか知らなかったので、劇中で流れた当初は気がつかなかったんですよね。しばらくして「あれ、この曲ってもしかして?」って気づいたんですが、ここで流れるんだと驚きましたよ。曲のイメージから希望に満ちあふれた歌なのかと思っていたけど、いや確かに表面上はそうなんだけど、実際は完全に心を閉ざしてしまうことを高らかに宣言するという、恐ろしく後ろ向きなシーンで使われているんですね。いやー、びっくりしたなー。

あとはハンスというキャラクターをどう解釈するかがポイントだと思いました。ハンスに対する違和感って、この映画を見た人なら大なり小なりあるんじゃないかと思うんですけど、僕的にはなぜか憎めない存在なんですよね。

過去作品のヴィランズと呼ばれる悪役達のような華があるわけでもない、正直中途半端なキャラクターですよ。最初はもうちょっと伏線を張るとか、心理描写を厚く描くとか、あった方がよかったんじゃないかなぁ…という気もしたんですが、そういうのを省略した方が役割(過去のディスニー作品に対するアンチテーゼとしての存在だったり)がはっきりするってことなんでしょうね。

ちなみに久しぶりの映画をどうせ見るならというとこで、ばかでっかいスクリーン規格「TCX」と最新の音響システム「ドルビーアトモス」の両方を体験できるTOHOシネマズららぽーと船橋までわざわざ見に行ってきました。巨大なスクリーンで見る3D映像は迫力満点で、特にエルサの雪の魔法は3DCGならではの美しさが追求されていて素晴らしかったです。音も文句なしによかったですね。それがドルビーアトモスのおかげなのかどうかは分からないけど。歌の伸びやかさが際立っていました。

あと忘れてならないのが同時上映された短編作品、「ミッキーのミニー救出大作戦」。3Dならでは演出をこれでもかと取り入れたすっごく楽しい作品でした。昔の作品のオマージュ的な世界からスクリーンを破って現代風のCGミッキーが飛び出してくるというギミック。すごいね。まるでディズニーランドのアトラクションを体験しているかのようなわくわく感がありました。

でも、Twitterとかで感想をサーチしてみたら想像以上に暴力的なシーンの連続が受け付けなかったという意見が多かったのが意外でした。昔のアニメーションの典型的な表現の範疇だとは思うんだけど、それでも現代だとダメな人が出てくるんだね。そっかー。

TOPICS漫画

漫画家の鳥山明さんが昨年「週刊少年ジャンプ」誌上で連載していた作品が単行本になりました。鳥山さんがジャンプで連載作品を描いたのは13年前の「SAND LAND」以来というから驚きです。もうそんなにたっていたんですね~。

銀河パトロール ジャコ
銀河パトロール ジャコ/鳥山明(amazon)
集英社 2014.4.4発売 440円+税
ISBN:978-4-08-870892-8

銀河パトロール ジャコ 特装版
銀河パトロール ジャコ 特装版/鳥山明(amazon)
集英社 2014.4.4発売 907円+税
ISBN:978-4-08-908204-1

ご覧のとおり、通常版と特装版の2形態での販売になっていて、特装版には特典として「飛び出す!ARポストカード」「’ジャコ’ラバーキーホルダー」「スーパーエリートバッジ」の3アイテムが封入されています。それだけ聞くと、そんなのいらないから通常版でいいやとなりがちですが、実は通常版と特装版では本のサイズも違うんですよ! 通常版は一般的な少年漫画の単行本と同じ新書判だけど、特装版は二回りくらい大きいA5判になっています。となると買うなら特装版一択でしょう! 鳥山さんの絵を大きい判で読める贅沢は何物にも代えがたいです。

「ドラゴンボール」以降、「COWA!」「カジカ」「SAND LAND」と、単行本1巻で収まる短期集中連載を散発的に発表してきた鳥山さんですが、今作もその流れを組む作品になっています。銀河の平和を守るため、宇宙からはるばる地球までやって来たちょっと変わったキャラクター、ジャコ。そして人里離れた孤島で特殊な研究に没頭する老いた科学者の大盛という、鳥山作品以外ではまずあり得ない組み合わせの主人公2人が出会うことで物語が始まります。

銀河パトロール隊という組織に属しているというジャコは、地球が悪い宇宙人に狙われているということで送り込まれてきたわけなんですが、どうも人類の危機を救うという強い意志があるわけではないようなんですね。なので地球人は救うに値しないとして、宇宙人が来る前に自分で絶滅させてしまおうなんてコワいことを言い出したりもします。こういう地球人と宇宙人の価値観の違いをさらっとコミカルに描いているところが面白いです。
他にもジャコには独特の美的感覚にこだわりがあって、それを老科学者の大盛が突っ込んだり、突っ込み放棄したりしながらおはなしが進んでいきます。

少ないながらも脇役キャラクターも登場するのですが、中でもスーツ姿のヒール役、固茹玉吾郎はなかなかいい味出してました(ドラクエ10にもこういうキャラほしいってちょっと思ってしまいました)。もうちょっと活躍の場面があればよかったけどページ的に考えたら無理かぁ。

あと「ネコマジン」シリーズの一部作品もそうだったけど、世界観を「ドラゴンボール」と共通にしているんですね。なのでところどころにドラゴンボールでよく見た固有名詞が出てきたりするところも楽しいです(東の都とか)。
更に単行本描き下ろしのおまけとして「DRAGON BALL-(マイナス) 放たれた運命の子供」という16ページの作品が掲載されています。これはドラゴンボールの主人公、悟空がどういう経緯で地球へとやってくることになるのかを描いたもので、悟空の父バーダックはもちろん、母親も初めて漫画に登場しています。今になってこういう漫画を描いてしまうあたりに、鳥山さんの「ドラゴンボール」という作品に対する強い思い入れを感じました。ジャコ本編終盤に明かされる、あっと驚く展開とともに注目です。

鳥山さんは週刊連載はもういいなんで言ってたらしいですが、そんなこと言わずに、気が向いたらでいいのでまた描いてほしいです。こんなにわくわく感の詰まった絵を描けるのは鳥山さんだけだと思うので。
 

鳥山明「銀河パトロール ジャコ」、桂正和との共作と同発(コミックナタリー 2014.4.3)
鳥山明の最新作「銀河パトロール ジャコ」が4月4日発売 悟空の母親が初登場(アニメ!アニメ! )
鳥山明先生13年ぶりの「週刊少年ジャンプ」連載作品が遂にコミックス化!!通常版と特装版の2バージョンで登場!!(出版社の特設ページ)…ジャコの発売とともに一部の過去作品が鳥山さん描き下ろしコメント入りの新規帯付きで重版。その帯が掲載されています。近作の中では「SAND LAND」の人気がいちばん高いみたいですが、僕は「COWA!」が大好きなんですよね~。あの世界観いい! 帯によると鳥山さんもいちばん好きなんだって!

鳥山明初の絵本「てんしのトッチオ」発売(2003.1.23)

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■いいとも、すごかったね。面白かったです。

ところで去年の末頃に、HDDレコーダーを買い換えました。これまでは2005年(だったかな?)に買った東芝RD-X5という古のアナログレコーダーと、PS3に繋いで使うtorneでどうにかやってきたんですが、そろそろ進化した最新のやつが欲しいってことでPanasonicのBZT760という機種を購入しました。
最初は買ったはいいけど3チューナーもいらないだろと思っていたけど、意外と便利ですね。今更な話だけどキーワードを登録しておくと勝手に録画してくれる機能とか、いろいろ便利になってるなぁと思いました。
起動も速くて、動作もキビキビしているところも好印象。ただ、いろんな機能を段階的に追加してきたからなんだろうけど、操作性の部分で整合性が取れてないというか、無駄にめんどくさい感じになってる部分が多い気がしました。特に編集関連の機能は何年も前の東芝の方が上ですね。好みの問題かもしれませんが、もうちょっと洗練されないものなんだろうかと思いました。

あと同時期に白ロムで安く売られていた富士通のF-02Eというスマートフォンを買ったので、内蔵のDiXiM for Androidというアプリを使って録画した番組を見られるようになりました。以前からtorne+PSPでテレビから離れた場所で録画番組を見る環境はあったんだけど、今度は防水端末なので気軽にお風呂からも見られるのが非常によいです。

ということでテレビっ子モードな感じの昨今なので、久しぶりに今見ているテレビ番組についても書き留めておきます。前回書いたのが2011年秋なので3年ぶりかぁ。今期始まる番組も含めています。

月曜日
YOUは何しに日本へ?(テレビ東京)

火曜日
踊る!さんま御殿!!(日本テレビ)
有吉弘行のダレトク!?(フジテレビ)

水曜日
ホンマでっか!?TV(フジテレビ)
水曜日のダウンタウン(TBS)
マツコ&有吉の怒り新党(テレビ朝日)

木曜日
ニンゲン観察バラエティ モニタリング(TBS)
とんねるずのみなさんのおかげでした(フジテレビ)
ダウンタウンDX(日本テレビ)
アウト×デラックス(フジテレビ)
アメトーーク!(テレビ朝日)
さまぁ~ず×さまぁ~ず(テレビ朝日)

金曜日
教訓のススメ(フジテレビ)

土曜日
久保みねヒャダ こじらせナイト(フジテレビ)
ざっくりハイタッチ(テレビ東京)
ゴッドタン(テレビ東京)
ブラマヨとゆかいな仲間たち アツアツっ!(テレビ朝日)

日曜日
ドラゴンボール改(フジテレビ)
ふるさと再生 日本の昔ばなし(テレビ東京)
ワイドナショー(フジテレビ)
ナイドナB面(フジテレビ)
東野・岡村の旅猿5 プライベートでごめんなさい…(日本テレビ)
モヤモヤさまぁ~ず2(テレビ東京)
ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!(日本テレビ)
アレはスゴかった(テレビ朝日)
にけつッ!!(日本テレビ)

3年前と比べると、有吉とマツコの番組が増えたな…という印象。「怒り新党」は見る番組を減らし中の頃に始まったので当初は見てなかったんだけど、途中から見るようになりました。有吉、昔から好きなんだけど、それにしても昨今の世間での評価が高すぎですよね。5年後くらいになったらもうちょっと普通な感じになるのかな。

「YOUは何しに日本へ?」は日本に来た外国人を通して日本のよさを再発見できるいい番組ですね。あとスタッフが撮れ高を気にしていないというか、普通だったらせっかく密着してるんだからこういう絵が欲しいってYOU達に無理を言ったりしそうなところを、あっさり引き下がる感じのところがあるでしょ。そういうところが新鮮だし、好感持てました。

「有吉弘行のダレトク!?」は毎週かなり楽しみにしている番組のひとつです。真麻がフジテレビ辞めたときに、「もうみなさんで有吉と真麻のコンビ見られなくなっちゃうじゃん!」と心底がっかりした僕としては、毎週この2人が見られるというだけで神番組なのです。

「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」も大好きな番組です。ほんとにTBSの番組なの? っていうくらいさわやかな雰囲気がよいです。ベッキー扮する木部さん、面白いよねぇ。ベッキーって天才だなと思った。あと昔あったゆるキャラが子供に食べ物をねだる企画も好きだったので復活してほしいです。

「ワイドナショー」は松ちゃんの率直な意見を聞けるところと意外なゲストが出てくるところがいいですね。夜から朝にお引っ越ししてどうなるか。今日の放送をチェックしてみたいと思います。B面ってなんで分けたんだろうと思ったら東野が裏かぶりしてるんだね。ってことはB面には東野出ないのか…。

「アレはスゴかった」は3月までは「アレはスゴイはず!?」というタイトルで放送してたんですが、地味な内容がけっこう好きでした。土田の気負いが一切ない自由な司会っぷりもよいです。番組内容も「へぇ~」と感心するものが多いんですよね。

そして「教訓のススメ」。ダウンタウンが2人でやってる番組は全部見てるんだけど、この番組がまさかまだ続くとは思わなくてびっくりしました。TBSの「100秒博士アカデミー」はけっこう面白かったのに終わっちゃって、なんでこっちが残るのか。面白くない内容に対して松ちゃんがなんてコメントするのか、というポイントだけが見どころです。一方TBSで始まる「水曜日のダウンタウン」はどんな番組になるのか…。

「久保みねヒャダ こじらせナイト」は”いいともが生んだ最後のスター”こと久保ミツロウさんの番組ですが、やっぱり面白いよね~。あの妄想力に憧れます。ヒャダインさんはタレントとして普通に違和感なく進行もして合いの手も入れて、作曲もして…ってすごいですよね。器用な人です。

そんな感じで相変わらずのバラエティー好きですが、昔に比べると東京芸人比率が高くなった気がします。関西芸人も大阪に籠もってないでもっと全国区で暴れて欲しいです。

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■ふと、「いいともだっていつかは終わる日が来るんだよなぁ~」なんてぼんやり考えたりしたこともありましたが、今日のことだったんですね。

いいとも、好きだったので寂しい限りです。

でもまあ、出演者やスタッフならまだしも、ただの一視聴者なわけなので、過剰に感傷的になってもね。所詮テレビのバラエティ番組なんだし…。

って、わかってるのにやっぱり悲しい!! いいとものない世界で今後どうやって生きていけばいいの? 誰か教えてほしいです。

MEMO

■毎回同じようなこと書いてる気がするけど、時間がたつのが早すぎるなぁ、と。2月もあっという間に終わりですが、今月はいろいろとイベントに行ってきましたよ。

まずは前回の更新でも書いた2/1に行われた中川李枝子さんと宮崎駿さんによる講演会。面白かったです。内容については「母の友」2014年6月号に掲載されると言うことなのでここではまとめなくてはいいとは思いますが、一応感想的なものは改めて書きたいなと思っています。

公演後に開かれた中川さんのサイン会にも参加して、「いやいやえん」にサインして頂きました。実は中川さんにサイン頂くのは2回目。貰いすぎですよね(笑)。でもどうしても「いやいやえん」に貰いたかったので…。

宮崎さんは学生のときに「いやいやえん」を読んで衝撃を受けたと語っておりましたが(ちなみに鈴木敏夫さんも同じ時期に読んで衝撃を受けていたらしい)、僕もこの本を子供の頃に読んで衝撃を受けたんですよね。たぶんそういう人が全国にいっぱいいるんじゃないのかな。改めて、読んで衝撃を受ける童話ってすごいよなぁって思いました。
 

 

そして毎年2月のお楽しみと言えば、あれです。文化庁メディア芸術祭。今年も行ってきましたよ。展示スペースは、いつもなら作品ごとに壁で仕切られているんだけど、今年は壁を取っ払ってバーンと1つの空間で見せるかたちになっていて新鮮でした。

関連イベントにもいくつか行ってきたんですが、最終日に行われた「想像力の共有地〈コモンズ〉」と題された3部構成のシンポジウムの1部と2部を見てきました。1部は「日本のエンターテインメント—フィクションの神話/ゲーム的創造力」というタイトルで、登壇者はさやわかさん、津田大介さん、イシイジロウさんの3人。”ゲーム的な創造力”が他のメディアへと拡散されていき、それが再びゲームの世界にフィードバックされるとき、どういうことが起こるのか、というテーマを軸に各々が思っていることを語るという内容で、非常に密度の濃い、聞き応えのある内容でした。デモレーターという立場で場を仕切っていたさやわかさんは、かつてはネット上で「ムーノーローカル」や「ニーツオルグ」といった人気サイトを運営されていたあの方です。現在は「物語評論家」という肩書きで活動されているんですね。かっこいいと思いました。物語。物語か~。いいなー。あと派手なシャツが印象的でした。内容については時間があったらまとめてみたいと思います。
 

2部は「ジャパン・コンテンツとしてのコンテンポラリー・アート ―― ジャパニーズ・ネオ・ポップ・リヴィジテッド」というタイトルで、現代美術の世界で活躍する
中原浩大さん、ヤノベケンジさん、村上隆さんの3人が日本のポップ・アートとコンテンポラリー・アートの関係について改めて語るというものだったんですけど、最初の1時間がね、デモレーターの楠見清さんによる3人のこれまでやこれからの活動についてや今回のイベントの趣旨についての説明に費やされていて、盛り上がりに欠けるというか、眠たくなると言うか、寝てしまってました(笑)。
でも1時間を過ぎたあたりから、これまでぶすっとした表情で黙っていた村上さんが覚醒しだしてきて、楠見さんの発言に噛みつく噛みつく(笑)。こういうイベントの場であそこまで人(しかも司会者)の意見を完全否定する人、はじめて見たかも。そこから村上さんを中心に話が流れるようになっていき、いろいろ面白かったんですが、気になる人は誰かがまとめていると思うので検索してみてください(美術手帖にも載るそうです)。

とにかく村上さんのスタンス、独特だなぁと。数年前までは日本の現代美術を取り巻く環境のダメダメっぷりに嘆いていて、どうにかちゃんとする方法はないのかと考えていたそうなんだけど、今ではどうすることもできないという結論になってしまったようで、絶望しか感じなくなったと。でも自分は(例え日本では正当な評価を受けることはなくとも)欧米ではスーパースターなので、自分の創作ができる環境を向こうで完全に構築してあるし、まったく問題ないと。日本の現代美術界がどうなろうと知ったこっちゃないと。そんな感じの語り口でした。

ただ、本当にどうでもいいと思っていたら、わざわざ日本のこんなイベントに出てきて発言することもないんですよね。そこは踏まえて一連の発言については考えなくてはならないんだと思います。

で、何がダメなのかというと、村上さんが言うには、作品を鑑賞するに当たって”文脈”を知ろうとしないと。ネット社会の受けだったり、分かりやすいものばかりに群がって、即座に答えを求めることに慣れ親しんでしまってことで、深く考えることができなくなっていると。とにかく、文脈、コンテキストという言葉を何度も多用していました。文脈がないと現代美術は理解できないと。

ヤノベさんから日本での自分のことをメジャーだと思ってないの?と聞かれたときは、「自分はガロの漫画家のようなもの」との返答でした。まあずいぶん有名なガロ作家さんもいるもんだと思ったものですが、ガロ出身でも蛭子さんみたいに有名な人もいますからね。そういうことなんでしょう(たぶん違う)。
 

 

メディア芸術祭についてはまだ書きたいことはあるんですがとりあえずこの辺にしまして、次のイベントへ。これは先日見に行ったばっかりなんですが、明日までギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催している「「指を置く」展 佐藤雅彦+齋藤達也」を見に行ってきました。まさに紙を使ったメディアアート。楽しかったです。会場には小さい机がいくつも設置されていて、そこに1枚ずつ絵をプリントした紙が置かれているんだけど、その絵の指定した場所に指を置くと不思議なことに絵の見え方が違って見えるという作品です。

最初は「え、そんだけ?」と思っちゃったんですが、いろんなバリエーションの作品があって、試し続けているといつの間にやら指を置く行為にどんどんのめりこんでしまいました。

地下の会場の入り口付近には唯一任意の場所に指を置いていい作品が展示されているんですが(虫のやつ)、これが僕の好きな佐藤さんの作品、「クリック」(amazon)の世界観に通ずるものがあって、思わずにやりとしてしまいました。

紙以外のメディアを使った展示も少しあって、これも面白かったです。ブランコのやつ、思わず左手を机に添えてやってたら、説明書きに「左手を机に置かないでください」って書かれていてちょっとびっくりしました。なんでわかったん?
あと、紙を載せるためだけに、立派な机をたくさん作っているのがすごいなと。そのへんの見せ方へのこだわりも作品の一部なんでしょうね。
 

 

3月もいろいろと見に行こうと思っているんですが、今のところはこのあたりに行くつもりでいます。

誕生50周年記念 ぐりとぐら展(東京会場:松屋銀座 2/27-3/10)
星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会(世田谷文学館、1/25-3/30)
「美少年の美」及川賢治 (100%ORANGE) イラスト個展(トムズボックス 3/1-31)

ぐりとぐら展は講演会からの流れで行っとかないとという感じですね。トムズボックスでやる及川さんの個展は毎年この時期に開催されているんだけど、最近行けてなかったので今年は見に行きたいなぁと。クラフト・エヴィング商會の展覧会はトークイベントも併催されているけど、申込方法が往復ハガキのみで抽選という渋さ。さすがです。