[雑誌]イラストレーション 2016年12月号 特集「100%ORANGE」
久しぶりに雑誌「イラストレーション」をご紹介。100%ORANGEの特集号です。
[雑誌]イラストレーション 2016年12月号 特集100%ORANGE
玄光社 2016.10.18発売 1852円+税
イラストレーション誌と100%ORANGEは、2002年の最初の特集号、それから2009年の作品集「GOOD SMILE」の発売、そして2016年の今回の特集と、謎の7年周期での関わりがあるそうです。ていうか100%ORANGEって活動20年だそうですよ。そんなに長くやってたんですね。
誌面での特集は約50ページで、前半部分で「GOOD SMILE」以降に手掛けた仕事のビジュアルを紹介、後半の5ページでは2人へのインタビュー記事があります。
このインタビューが、すごく面白かったです。特に印象深かったのが、絵のタッチを変えることについてと、線画とテクニックの話についての部分。まずは、タッチを変えるのはこれまでのパターンを壊したくなる感じがあるのか尋ねられたところ。
及川 いや、壊したり殻から出たいというよりも、むしろ自分を守るためにやっているという意識なんです。同じような仕事で同じような絵を描いちゃうと、ダメだって思う。(中略)別の自分になろうとか、驚かせようとかはまったく思ってなくて。むしろ何か来たからよけたら、ちょっとタッチが変わったなという感じ。(P48より)
そして、線画の話の中で、絵にテクニックが出始めるとダメだと思ってしまうという話の流れで出た部分。
及川 面画はデザインしている気持ちなので、絵を描くのとは少し違うんです。線画はほんとにつらくて。上手くなるというか整っちゃう。かといって左手で描くとか、わざと下手に描くのは嫌なんですよ。(中略)テクニックでやってる人を否定するわけじゃなくて、「わざと」みたいなのは僕はやらない。わざと汚すとか。いい雰囲気以上の感動にならない気がして…。(P49より)
僕なんか、及川さんのイラストのよさって、あの雰囲気にあると思っちゃうんですよね。ところが最近、そんな雰囲気からは脱するようなタッチのイラストもちらほら見かけるようになり、どういうことなんだろうと、うっすら気になっていたのでした。
でもそういう雰囲気を求められるまま同じような絵を描き続けていたら、それ以上の感動にならないっていうのは確かにそうかもと思うし、この言葉って絵を見る側だけの話ではなく、描く側の気持ちとしてもそうなのかなぁと。「自分を守るため」って、結構深いというか、重い言葉な気がしてきました。
これまでの仕事を紹介しているページの中で、特にいいなと思ったのは「少年少女囲碁大会」のポスター。年ごとに、デザイン的な遊び心が前面に出ていて、すごいです。手書きの文字もいいし。これ、結構大きな大会のポスターだと思うんですけど、こんなに自由にやっていいんですね。
ルイ・マル監督のDVDパッケージイラストは2009年の作品ということで、昔からの100%ORANGEのイメージの絵ですが、トータルで格好良く仕上がっててやっぱり素敵です。
次のページにある「あしやティアフル映画祭」のポスターも一見タッチはルイ・マルDVDのイラストと似ているんだけど、違いますよね。
そして、この号には特別付録として2017年の卓上カレンダーが付いてきます。おまけレベルの安っぽい感じじゃなくて、A5サイズのしっかりした作りです。来年はこのカレンダーを部屋に飾って乗り切ろう…。
→イラストレーション 2016年12月号 No.212(出版社の紹介ページ)
→100%ORANGE(公式サイト)
◇[雑誌]イラストレーション no.187 特集「いわいとしお」(2010.12.2)
◇[本]SUNAO SUNAO/100%ORANGE(2009.3.27)
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