MEMO

世の中、色んなものが無数に存在していますが、好きになるものとそうでないものの違いって何だろうって思います。例えば「ずっと真夜中でいいのに。」という音楽グループがいますが、僕は新曲が出たらチェックするくらいは好きです。でも、同じ系統としてまとめられることの多い「YOASOBI」の曲は何がいいのかよく分からなかったりするし、「ヨルシカ」の曲は1回も聴いたことがないので、自分が好きか嫌いかすら分かりません。

そもそも、僕はあまりメジャーなものには興味が無かったりするので、世の中で人気のあるものが理解できなかろうが、いつものこととして受け流すまでです。でも、例外というか1人だけ、何年も前からある有名人に対して無性にすごくモヤモヤを感じていたんですよね。

星野源さんのことなんですけど……。

分かってます。このタイミングで「星野源って何がすごいの? さっぱり理解できない」なんて書いたら、最高にダサいと思います。でも、そんなダサい文章を書くなんて滅多にないことだと思うので、ちょっとこのまま進めてみたいと思います。

僕が星野源さんのことをはっきり認識したのはいつだったのか、正直あまり覚えていないのですが、俳優でアーティストでもある多彩な方なんだなぁという印象だったと思います。そんな中はっきりとした記憶としてあるのが、2010年にスチャダラパーが開催した大型イベントに行った際、SAKEROCKとして出演しているのを見たときのことです。この時はじめて「SAKEROCKってインストバンドだったんだ」と知りました(と思っていたのですが、当時のレポート等を見るに、星野さんはバンドじゃなくてソロとして出演しているっぽいんですよね。じゃあ僕の頭の中のに残っている映像って何? 記憶違いの可能性もあるけどひとまず置いときます)。

その後、星野さんはソロアーティストとしてどんどん人気者になっていきますが、僕が改めて意識しないといけなくなることはしばらくありませんでした(小さな出来事としては、当時よく遊んでいたオンラインゲームの中で、割と音楽の趣味が合う人と話していたら、「昔は小沢健二が好きだったけど、今は星野源が好き」的なことを話していて、そういうラインでも人気なんだと認識したことがありました)。

そんなある日、星野さんに注目せざるを得ないことが起こります。2017年に公開されたアニメーション映画、『夜は短し歩けよ乙女』で星野さんが主役の声を務めることになったのです。この映画の監督は湯浅政明さんです。僕の好きな映画ランキング不動の1位である『マインド・ゲーム』を監督した、あの湯浅さんです。僕はこの映画が本当に好きで、どのくらい好きかというと、累計7回くらい劇場に見に行ったくらい好きなのですよ。去年のリバイバル上映にも行きましたし。
そして、映画のプロモーションとしてメディアに登場した星野さんはこう言ったのでした。
『マインド・ゲーム』が好きだったので、湯浅監督の作品に出演できて嬉しいと。
それを聞いて、星野さんも『マインド・ゲーム』が好きなんだと嬉しくなりました。自分と同じものが好きと言われると、ちょっと好感を抱くものです。

そして僕は『夜は短し~』を見て、はじめて星野さんの演技に触れることになります(正確に言えば、前年の大河ドラマ『真田丸』で見た方が先でしたが、あれはちょい役でしたもんね)。有名人を起用したときにありがちな、本人のお顔がちらつくようなことも一切なく、素晴らしい演技を見せてくれました。

同年の2017年にはこんなこともありました。『バズリズム』という番組を見ていたら、星野さんが好きなものを語るというトークをしていて、そこで横井軍平さんのことを語っていたのでした。

横井さんと言えば、ゲーム&ウォッチやゲームボーイ、「Dr.マリオ」等の生みの親として知られている元任天堂の技術者であり、僕が最も尊敬するゲームクリエイターなのです。どのくらい好きかというと、まだ横井さんが存命のときに上梓した『横井軍平ゲーム館』という書籍を発売日に本屋へ買いに行ったくらい好きなのです。テレビで「任天堂が好き」と言ってる人は見たことがあっても、「横井さんが好き」と語る人なんて見たことがなかったので、驚きとともに嬉しくなったことを覚えています。この時はまだ、純粋に嬉しかったと思います……。

その後、こんなこともありました。星野さんが2018年に発表した「アイデア」という楽曲で、三浦大知さんがMVのダンスの振り付けを担当したのです。いつの間にか、星野さんは三浦さんとすごく仲よくなっていたそうで……。
ちなみに僕は、ずっと昔、大知さんが大地くんの頃、はじめて「パラシューター」を聴いてその声に惚れ込んで以来、ずーっと三浦大知さんのファンなのですよ。星野さん、簡単に僕の好きな人と仲よくなるやん? そして簡単にコラボするやん? すごいね……。

少し遡って2017年の話です。『マツコ有吉のかりそめ天国』を見ていたら、放送作家の寺坂直毅さんという方が、花巻市にあるマルカン百貨店のソフトクリームを紹介していました。僕は見た瞬間に「あっ!」と思いました。この寺坂さんって、かつて『やりすぎコージー』で放送された伝説の企画、「イマヒガチルドレン」の回に登場していたアイアム寺坂さんじゃないかと! 今田耕司と東野幸治が好きで、デパートと紅白歌合戦を愛する寺坂さん。僕も今田東野好きで、大型商業施設が好きで(東京に住んでいるのもそれが理由的なところがある)、テレビっ子で歌番組が好きなので、寺坂さんはすべてに置いて上位互換的存在と言っていい、尊敬の人なのです。放送後、イマヒガチルドレンの同士が何かつぶやいていないかとTwitterを検索してみたところ、衝撃の事実を知ることになるのでした。
「星野源ANNの寺坂さんがテレビに出てる!」
そんなつぶやきばかりがヒットしたのです。実は寺坂さん、「星野源のオールナイトニッポン」の作家として、番組にも出演していたそうなんですね。僕の知らないうちに、寺坂さんは"イマヒガチルドレンの寺坂さん"から"星野源ANNの寺坂さん"になっていたのでした……。

なんで!? なんで星野源さん、僕の好きな人を次から次へと奪っていくの!?

そして2020年、星野さんは(僕の大好きな)任天堂の「スーパーマリオ35周年」を記念するTV CMに出演します。CMにも起用されている新曲は「創造」と言うそうです。このタイトルは任天堂の3代目社長、山内溥さんが格言的に用いていた「独創」からインスピレーションを受けて名付けたんでしょう。任天堂のCMにぴったりのタイトルです。星野さんは前述の横井さんの言葉、「枯れた技術の水平思考」という考え方も好きで、創作に活かしているそうです。僕もこの言葉は大好きだけど、実生活で活かしたことはただの1度もないですよ……。

なんかもう、いろいろとすごすぎてもう、ぐうの音も出ません(2ヶ月連続)。

そんな星野さんが今月、女優の新垣結衣さんと婚約を発表しました。この発表に僕はほっとしました。なぜなら、僕は新垣さんのことをよく知らなかったから。もちろんポッキーや、リングフィットのCMなどでは存じ上げてますが、それくらいの薄い知識しかなかったので。これがもし、僕が新垣さんのファンだったらと思うとぞっとします。きっと、頭おかしくなっていたと思います。よかったよかった。

星野さん、新垣さん、お幸せに!