▲「鳥獣花木図屏風」をモチーフにしたチームラボの作品、「Nirvana」
少し前ですが、東京都美術館で開催されていた「若冲展」を見に行ってきました。伊藤若冲についてはにわか以下の知識しかなく、「なんかあのトラの絵の人?」くらいの印象しかなかったのですが、もう本当に最高すぎて、完全に虜になってしまいました。
今回の展覧会、昨今の若冲ブームの影響に加え、生誕300年という節目に開催されること、更に会期が1ヶ月という短期間なのもあって、連日大混雑でした。会期後半には会場入りまでに2時間待ち、3時間待ちが常態化、ひどい時には5時間以上も並ばないと入れないなんていう恐ろしい日まであったそうです。僕のときは60分待ちでしたが、それでもすごい混雑だったので、考えただけで気が遠くなりそうです。
目玉は若冲の代表作でもある「釈迦三尊像」全3幅と「動植綵絵」全30幅を一堂に会した展示。元々はすべて京都の相国寺というお寺が所蔵するものだったそうですが、現在「動植綵絵」の方は宮内庁の三の丸尚蔵館が所蔵しているので、一度にすべてが見られる機会というのは滅多にないそうです。
会場では1フロアを使い360度、円を描くように配置されていて、それはもう圧巻の一言。当初は後ろの方からぼんやり眺める予定だったのを変更して、どうにかこうにか最前列までたどり着き、かぶりつくように見入ってしまいました。
あの大きさの絵をあの緻密さで、あの数ですよ。まずはそのボリューム感でやられてしまうわけですが、じっくり見れば見るほど、その理解できなさに気づいて、もっと見続けたくなってしまうんですね。こりゃ、人の流れも止まるはずです。
例えば、その細密さは若冲の特徴としてよく挙げられていますが、普通に考えたら、細かく描けば描くほど、面白みのない絵になりそうな気がするんだけど、まったくそれがないんです。それが不思議でねぇ。大胆なデフォルメや色遣いだったり、構図構成などのデザイン的な部分がそうさせるのかもしれませんが、その根底にある絵に込められた感情がそれを実現させている気がしました。若冲がこの世界から感じた感動のすべてが絵の中に詰まっているように思えましたもん。
これまで、絵を見るためだけに行列なんて…と思って、大々的に宣伝されてるような展覧会は敬遠しがちでしたが、やっぱり人気があるものってそれだけの理由があるんですね。やっぱり行った方がいいんだと、考えを改めることにしましたです。