漫画家の鳥山明さんが昨年「週刊少年ジャンプ」誌上で連載していた作品が単行本になりました。鳥山さんがジャンプで連載作品を描いたのは13年前の「SAND LAND」以来というから驚きです。もうそんなにたっていたんですね~。
銀河パトロール ジャコ/鳥山明(amazon)
集英社 2014.4.4発売 440円+税
ISBN:978-4-08-870892-8
銀河パトロール ジャコ 特装版/鳥山明(amazon)
集英社 2014.4.4発売 907円+税
ISBN:978-4-08-908204-1
ご覧のとおり、通常版と特装版の2形態での販売になっていて、特装版には特典として「飛び出す!ARポストカード」「’ジャコ’ラバーキーホルダー」「スーパーエリートバッジ」の3アイテムが封入されています。それだけ聞くと、そんなのいらないから通常版でいいやとなりがちですが、実は通常版と特装版では本のサイズも違うんですよ! 通常版は一般的な少年漫画の単行本と同じ新書判だけど、特装版は二回りくらい大きいA5判になっています。となると買うなら特装版一択でしょう! 鳥山さんの絵を大きい判で読める贅沢は何物にも代えがたいです。
「ドラゴンボール」以降、「COWA!」「カジカ」「SAND LAND」と、単行本1巻で収まる短期集中連載を散発的に発表してきた鳥山さんですが、今作もその流れを組む作品になっています。銀河の平和を守るため、宇宙からはるばる地球までやって来たちょっと変わったキャラクター、ジャコ。そして人里離れた孤島で特殊な研究に没頭する老いた科学者の大盛という、鳥山作品以外ではまずあり得ない組み合わせの主人公2人が出会うことで物語が始まります。
銀河パトロール隊という組織に属しているというジャコは、地球が悪い宇宙人に狙われているということで送り込まれてきたわけなんですが、どうも人類の危機を救うという強い意志があるわけではないようなんですね。なので地球人は救うに値しないとして、宇宙人が来る前に自分で絶滅させてしまおうなんてコワいことを言い出したりもします。こういう地球人と宇宙人の価値観の違いをさらっとコミカルに描いているところが面白いです。
他にもジャコには独特の美的感覚にこだわりがあって、それを老科学者の大盛が突っ込んだり、突っ込み放棄したりしながらおはなしが進んでいきます。
少ないながらも脇役キャラクターも登場するのですが、中でもスーツ姿のヒール役、固茹玉吾郎はなかなかいい味出してました(ドラクエ10にもこういうキャラほしいってちょっと思ってしまいました)。もうちょっと活躍の場面があればよかったけどページ的に考えたら無理かぁ。
あと「ネコマジン」シリーズの一部作品もそうだったけど、世界観を「ドラゴンボール」と共通にしているんですね。なのでところどころにドラゴンボールでよく見た固有名詞が出てきたりするところも楽しいです(東の都とか)。
更に単行本描き下ろしのおまけとして「DRAGON BALL-(マイナス) 放たれた運命の子供」という16ページの作品が掲載されています。これはドラゴンボールの主人公、悟空がどういう経緯で地球へとやってくることになるのかを描いたもので、悟空の父バーダックはもちろん、母親も初めて漫画に登場しています。今になってこういう漫画を描いてしまうあたりに、鳥山さんの「ドラゴンボール」という作品に対する強い思い入れを感じました。ジャコ本編終盤に明かされる、あっと驚く展開とともに注目です。
鳥山さんは週刊連載はもういいなんで言ってたらしいですが、そんなこと言わずに、気が向いたらでいいのでまた描いてほしいです。こんなにわくわく感の詰まった絵を描けるのは鳥山さんだけだと思うので。
→鳥山明「銀河パトロール ジャコ」、桂正和との共作と同発(コミックナタリー 2014.4.3)
→鳥山明の最新作「銀河パトロール ジャコ」が4月4日発売 悟空の母親が初登場(アニメ!アニメ! )
→鳥山明先生13年ぶりの「週刊少年ジャンプ」連載作品が遂にコミックス化!!通常版と特装版の2バージョンで登場!!(出版社の特設ページ)…ジャコの発売とともに一部の過去作品が鳥山さん描き下ろしコメント入りの新規帯付きで重版。その帯が掲載されています。近作の中では「SAND LAND」の人気がいちばん高いみたいですが、僕は「COWA!」が大好きなんですよね~。あの世界観いい! 帯によると鳥山さんもいちばん好きなんだって!
◇鳥山明初の絵本「てんしのトッチオ」発売(2003.1.23)