[本]チェルシー/D[di:]
この本は作家、イラストレーターなど色々な肩書きをお持ちのD[di:]さんが、季刊S(エス)という雑誌等で連載していたコミックを1冊にまとめたものです。
[本]チェルシー/D[di:](amazon)
飛鳥新社 2009.1.13発売 1680円
ISBN:978-4870318939
D[di:]さんのことは名前は知ってはいましたが、正直なところ「自分には関係なさそう」と思って今まで作品を手に取ったことはありませんでした。この本もたまたま本屋で見かけただけだったんですが、何の気なしに立ち読みしてみたところ、そこには今まで見たことのないようなエキセントリックな世界が描かれていて、「これはひょっとしてすごい本かも…」と思い、気づいたらレジに持っていってました。
簡単にストーリーを説明すると、片目を眼帯で覆った優しい女の子の「チェルシー」と、謎の雑貨屋で購入したパソコンの「もぐタン」との生活を描いた物語、ということになるんですが、とにかく変わってるのがもぐタンの存在で、生きてて勝手に歩いたり喋ったり悩んだりするので、それって全然パソコンじゃないですよね。でも物語の中では”アナログPC”と呼ばれていて、普通とはちょっと違うパソコンということになっています。
本の前半部分ではそんなもぐタンの言動がいちいちツボにはまってしまい、「今読んでる本ってギャグマンガだっけ?」と錯覚しそうになってしまいましたが、チェルシーの過去を解き明かす内容になっている後半部分では、物語全体のテーマでもある「悲しい」という感情をキーワードにして、完結へ向けて一気に核心へと迫っていきます。このラストへ至る描き方がすごくて、連載期間が10年にも渡っているとは思えない、ブレのない綺麗さが見事。悲しみを背負うことの大切さに気付かせてくれます。
それでは最後に一言。僕ももぐタンみたいなパソコンがほしいです。
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