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■昨日、青山ブックセンター本店にて開催されたトークイベント、「ブルボン小林のゲームソムリエ」に行ってきました。
ブルボン小林というなんだか怪しい名前の方のイベントなんですが、その正体は芥川賞受賞作家でもあらせられる長嶋有さんなんですね。本業よりもお気楽なコラム等の執筆時に使う変名というわけです。そんな長嶋さん、芥川賞取っているにも関わらず、ゲームが大好きで(しかも下手なのに大好き)、ついにはゲームについてのコラム集「ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ―自腹文庫」(amazon)を刊行。今回のイベントはそれを記念しての開催ということなんです。
と、ちょっと説明してしまいましたが、なんでかと言いますと実は僕もブルボン小林さんについて、何一つ知らない状態だったんですよね。「こどものもうそう」さんで本が取り上げられていたのを見たくらいでして。今回のイベントもゲストのゴージャスさに惹かれて予約した口でして、そんなのでいいのかと思ってたけどおもしろかった!
行ってよかったです。
今回のイベントのテーマは、「ゲームなんて知らない人にも楽しめるゲームイベント」ということで、とにかく普段ゲームをやらない人にこそ来て欲しいというイベントだったんですね。しかも女性に来て欲しいと言うことで、可能な限り秋葉原方面の流入を防ぐために、当初は青山あたりのカフェで開催する予定だったそうなんですが、結局いいカフェがなく青山ブックセンターになったんだそうです。でも正直、どんなに工夫を凝らしてもゲームのイベントに女性がそんなにたくさん来るわけがないですよね。どうせ無理ですよと思いつつ、会場の席についていたんですが、席が埋まるにつれ増えてくる女の人…。最終的にはなんと6割が女性で埋まったのでした。これにはびっくりですよ。しかもみなさんカフェとかが似合いそうな素敵そうな方ばかり。まさかゲームのイベントで場違いな空気を感じることになろうとは。長嶋さんはボーズくん目当てなんて言ってたけど、いやいや、それだけだとは思えません。長嶋さんの名は、ゲームイベントに女性を呼び込める男として、後世に語り継がれることになりそうです。
さて、やっとここからが本題です(この感想、長くなりそうな予感…)。基本はゲストとのトークを交えつつ、ゲストの思い入れのあるゲームや、著書で紹介されているゲームのおもしろシーンを、映像付きで見ていこうという内容で、17:30〜20:30までの3時間のイベントでした。順番にどんなゲームが紹介されたか覚えている限り書き出してみますとだいたいこんな感じです。間違ってるところもいろいろあるかも。
○開始時刻直前、本の担当をされている鈴木さんが特にあいさつもないまま登場するや否や「(機材を)間違って操作してしまいました。30秒だけ時間をください」と宣言。その後数分ごそごそ始める。
○ブルボン小林さん登場。鈴木さんに機材の調子を尋ねるが返事は「あと10秒時間をください」。
○最初に紹介するゲームは、単行本の感想で一番評判がよかった怒られゲー。
・「サージカルストライク」(メガCD/セガ)
○最初のゲストの斉藤由多加さん登場。斉藤さんがらみのゲーム紹介。
・「タワー」(サターン)
・「大玉」(ゲームキューブ/任天堂)
○2番目のゲスト、林雄司さん登場。芸能人が出てくるゲームを紹介。
・「中山美穂のトキメキハイスクール」(ファミコンディスク/任天堂)
・「スーパーファミスタ5」(スーパーファミコン/ナムコ)
・「マイケルジャクソンズ・ムーンウォーカー」(メガドライブ/セガ)
・「安室奈美恵 デジタルダンスミックス」(サターン/セガ)
・「たけしの挑戦状」(ファミコン/タイトー)
・「パネルクイズ アタック25」(プレイステーション2/デジキューブ)
・「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!」(プレイステーション2/チュンソフト)
・「居眠り流 阿佐田哲也のA級麻雀」(MSX2/ポニーキャニオン)
○休憩を挟んで、米光一成さん、飯田和敏さん登場。お2人が手掛けたゲームや思い入れのあるゲームを紹介。
・「魔導物語」(MSX/コンパイル)
・「ぷよぷよ」(ファミコンディスク/コンパイル)
・「ちるどれんずうぉーず」(MSX/コンパイル)
・「太陽のしっぽ」(プレイステーション/アートディンク)
・「巨人のドシン1」(64DD/任天堂)
・「ハットリス」(ファミコン/BPS)
・「シムアース」(スーパーファミコン/イマジニア)
・「タッチ」(ファミコン/コンパイル)
○最後に「惚れたぜHarajuku」をバックにボーズ登場。音声がらみのゲーム紹介。
・「ときめきメモリアルGirl's Side」(プレイステーション2/コナミ)
・「ウイニングイレブン(?)」(プレイステーション2/コナミ)
・「レースゲーム(名前不明)」
・「モジブリボン」(プレイステーション2/ソニー・コンピュータエンタテインメント)
○電気グルーヴ×スチャダラパー「TWILIGHT」をバックに退場。
と、こんな感じだったかな。前半は記憶が曖昧ですけど。最初に紹介された「サージカルストライク」は実写のゲームで、ミスすると上司の中佐に怒られるんだけど、そのバリエーションが半端じゃない。なぜそこにここまでこだわる!?
というところがツボ。以下、そういう感じで注目する視点を変えることでゲームをやらない人にも面白さが伝わる紹介になってました。このゲームを筆頭に、あとで出てくるマイケルジャクソンとかのゲームとか、かつてのセガのゲームには異常なバカさと熱さがありますね。敵と一緒にダンスを踊るマイケルなど、どれもかなり受けてました。
シーマンでおなじみの斉藤さんは、まだ開発中のゲーム「大玉」の実機映像を先行公開。戦国時代が舞台のピンボールという破天荒な設定というのは知ってたけど、動く画面を見ると想像以上にすごいですね。会場の受けも相当よかったです。これがピクミンのあとくらいに出てればゲームキューブももうちょっと売れたんじゃと思うと涙が。あとナレーションを務める大滝秀治さんの収録時の裏話なども。
「WEBやぎの目」の林さんは、「中山美穂のトキメキハイスクール」と「スーパーファミスタ5」を持参。「中山〜」はコマンドを選択していくと、中山美穂の表情が変化していくんだけど、怒り顔になってゲームオーバーになったあと、次の画面に映る瞬間表情が明るい元の顔に戻る、というところを見て欲しいとのオーダー。
実際に見てみると、おそらくみんなが思っていた以上に一瞬の出来事に会場爆笑。
あと、このゲームのことを「辻仁成は普段からやっているはず」とコメント。さすがです。
そしてスーパーファミスタ5。キリンジの堀込高樹がかつてナムコの社員だったという話はファン以外の人にはあまり知られていない事実ですが、このゲーム中の音楽には、その後キリンジとして発表される楽曲そのまんまなのが入っているとのこと。そう言う話は聞いたことあったけど、キリンジファンの僕も実際に聞くのは初めてですよ。選手のエディット画面のようなところで掛かる曲、確かにキリンジの「汗染みは淡いブルース」
そのまんまです!
こんな細かいネタを見つけてくるとは、またまた林さんには脱帽ですよ。
続いての米光さんと飯田さんですが、お2人とも好きなゲームデザイナーなので生で見られて嬉しい限り。ハロプロ大好きっ子としておなじみの飯田さんは冒頭から矢口脱退について熱く語り出しました。あんなのは事務所の陰謀だとか、その界隈では、中国における日本バッシング以上に熱くなっているとか!
「シムアース」がゲームデザイナーを目指すきっかけになったという話は初聞きでした。あのゲーム、1回やったことあるけどヒドいゲームだよねぇ。でも飯田さんはゲームでこんなことを表現してもありなのかと、フリーダムを感じたんだそうです。
あとハットリス。「テトリス」を作ったアレクセイ・パジトノフさんがアメリカに亡命して作ったゲームなんだけど、パズルゲームとして破綻していて、テトリスのおもしろさをまったく理解していない人が作ったとしか思えない作りなんだそうな。そんな出来だったとは知りませんでした…。テトリスはビギナーズラックとまで言われていて、僕は「いや、パジトノフさんが同時期に作った「ナイトムーブ」はすごくおもしろいんだよう」と心の中で叫んでいたのですが、それが通じたのか、米光さんが「ナイトムーブというゲームはおもしろい」とフォローしてくれました。ありがとう、米光さん。
米光さんの作品の中では、「ぷよぷよ」ですよね。今回紹介されたディスク版のやつを発売直後に書き換えた僕としては久しぶりに聞いたあの音楽に感動でした。ぷよが人になるヒューマンモードも懐かしい。会場の受けもよかったです。
「ちるどれんうぉーず」というゲームは、信長の野望の現代子供版とでも言うような、子供がいろんな手を使ってガキ大将を目指すというゲーム。当時にこんな斬新なゲームを作って発売しているなんてすごいです。
「タッチ」は米光さんが当時いた会社が作った有名なクソゲー。米光さんの名誉のために書いておきますが、制作には関わっていないそうです。
最後に登場したボーズさん、バックに「惚れたぜHarajuku」掛けながらの登場には恥ずかしそうでした。ジャニーさんにこの曲の存在が知られているらしいとの情報も。ここで見ていったゲームは、音声がらみということで、実況がおもしろいゲームなどを取り上げていて、例えば実況つきのレースゲームで、逆送してみると、ちゃんとその時の実況も用意されていて、アナウンサーが「おーっと、逆送です。一体どうしたことなんでしょう」などと普通のテレビの実況では絶対聞けない台詞をしゃべり出すという
ものを紹介していました。こういう普通はやらないことに対してレスポンスが返ってくるっていうのは確かにおもしろいし、そのゲームに対して愛着を感じることのできる瞬間でもあるんですよね。
最後の「モジブリボン」はラップがテーマのゲーム。斬新で面白いのに売れなかったとさかんに言われていましたが、うーん、確かにあの画面だと売れないというのもわかるかも。高度なことをやってるんだと思うけど、ちょっと地味な印象ですね。会場の人もビブリボンは知っているけど、これは知らなかった、なんて言ってたので知名度もいまひとつっぽいですね。
ブルボンさん自身が操作して、見事クリアされました。
そんな感じで、本当はまだ書き足りない気もするけど、長くなったのでこのへんで。噂では聞いたことがあるけど、実際には見たことないような、いろんなゲームの映像が見られて楽しかったです。会場では林さんがニンテンドーDSでピクトチャットをしていて、持ってる人は参加してなんて言ってたんだけど、DS持ってる人がほとんどいないっぽくて雰囲気的にできませんでした。どんなことが繰り広げられていたのか…やっぱりちょっとだけでもやってみたらよかったかなぁ。
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