53.キャラクターグッズと商業主義 2000.12.31


 20世紀の最後に、キャラクターグッズってなんだろうなんて、ちょっと重いことを漠然と考えてしまいました。



年末、ゴージャスな新聞広告を見て…

12月29日付の読売新聞朝刊に、丸々2面を使ったカラー広告が掲載されました。大きく「みんな大好き、アンパンマン」と書かれ、アンパンマンキャラクターがいっぱいのイラストが全体に描かれています。

そこに掲載されていた文章を一部抜粋(青色部分)します。

その手紙は13年前、アンパンマンを愛し、大切に思っている人から届きました。宛先は「それいけ!アンパンマン」の放送を開始した日本テレビです。
「商業主義で私たちのアンパンマンまで汚さないで」手紙にはこう書かれていました。


その後にこう続きます。

キャラクターグッズと呼ばれている商品群の中には残念ながらクォリティが二の次にされたできそこないもいっぱいあります。アンパンマンまでその仲間にはいってしまうの。それは、キャラクターマーチャンダイジングの準備に入っていた私たちへの痛烈な批判でした。そして、私たちの本気に火をつけた手紙でもありました。


この広告は、単なるアンパンマンの広告ではなく、「キャラクター・ビジネスとは何なのか」という趣旨の広告だったのでした。


キャラクターグッズは特殊な商品

僕はキャラクターグッズに対して、正直に言うとビジネス色の強い商品だという認識があります。なぜなら、他の商品に比べて高いからです(^^;)。
これはライセンス料が上乗せされているんだから当たり前のことで、そんな理由でビジネスを感じてしまうのは、僕がドケチなだけです。でもキャラクターグッズという商品は特殊なものだと思うんですよね。


キャラクターグッズと似たようなものにブランド商品と呼ばれるものがありますが、ブランドは厳密な品質管理の上に成り立っているものです。

それに比べ、キャラクターグッズはモノが良かろうと悪かろうと、同じキャラがつくと同じ価値を生み出します。最初からキャラクター自身に価値があるからです。それにキャラクターファンは質そのものよりも、より生産個数の少ない、希少価値の高いものをありがたがってしまう傾向にあります。

コアなファンにとってキャラクターグッズをコレクションすることは、そのキャラクターに対しての最もストレートな愛情の表現になるんですよね。だからどうしても数が少ないグッズに目が行きがちになっちゃうんです。


キャラクターグッズを求める理由

そんな現状を受けてビジネス優先の業者がグッズを作るとすると、品質が置き去りになってしまうのは、当然のなりゆきのようにも思えます。
でもそれだと、何かがおかしいですよね。キャラクターグッズがただ集めるだけのコレクターグッズならば、それでも問題ないような気もするけど、違いますよね。

「大好きなキャラクターと一緒に日常を過ごしたい!」
これが原点だと思うんです。だから僕たちは少々高くてもキャラクターグッズを買うんですよね。

受け手と送り手の両方、いや受け手だけでもいいから、この原点を忘れなければ、この先どんなにキャラクターグッズの市場が大きくなっても、または小さくなっても、儲けのことしか頭にないような人が作った、くだらないキャラクターグッズは淘汰されていくんじゃないかな…。


何の商品の宣伝でもない、キャラクターグッズに対する姿勢だけを消費者に訴えたこの2面カラー広告。そんな広告に、いろんなことを考えさせられる世紀末を過ごしたのでした。。。


思いっきり蛇足ですが

この広告はアンパンマンのキャラクターグッズに関わっていると思われる企業の連名になっています(作者のやなせたかしさんのコメントも掲載されています)。

ただちょっとだけ気になるのは、この広告って読売新聞だけだったのかな〜、ということ。もしそうだとすると「読売グループ」という別の商業主義的なイメージを連想してしまって、ちょっと後味悪い気がするよな…。なんて思っていたけど、ちゃんと他紙にも掲載されていたようです(^^;)。



日本テレビアンパンマンホームページ…商業主義と呼ばれない自信を持って制作されたアンパンマングッズたちをネットで購入できる通販ページもあります。


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