そのリスの名はコンカー
今回紹介するキャラクターが登場するゲームソフト「Conker’s
Bad Fur
Day」の開発元、イギリスのレア社のホームページには主役のリス「コンカー」が王冠をかぶり、目つき悪く睨みを利かせ、なにやら喋っているデモムービーが見られます…。
ディズニーの映画「ターザン」に残酷的表現があったと聞いたことがありますが、そんなどころの騒ぎじゃないですよ。
だって、酒を飲み、タバコも吸い、マシンガンぶっ放して流血シーンまである、しかも海外では17歳以上のレイティング付きになるらしいゲームの主人公が、とっつきよさげなすっごくかわいいリスなんです。ごっついおっさんや、化け物や恐竜とかならまだ分かるけど。
こんなのが子供ユーザーの多い日本の64でも(しかも任天堂自ら)発売したら、それはもうすごいことでしょう…。
今回はそんなコンカーの、ちょっとマニアなお話です。
コンカー、それはとてもかわいかった…
「コンカーズクエスト」。NINTENDO64ソフトとしてこのタイトルが電撃的に発表されたのは1997年の「E3」(世界最大の電子エンターテイメントイベント)でのことでした。
このゲームソフトの開発元であるレア社は、「ドンキーコング」というビッグネームを擁している会社なのですが、このドンキー自体は任天堂からの借り物キャラなんですよね。そこでレア社オリジナルキャラのゲームソフトとして誕生したのがコンカーと言うわけなのです。
レア社はこれまでにもドンキーコングの脇役たちをデザインしてきました。しかしそのどれもが、”外国の目が怖い人形のイメージ”というか、海外受けはするんだろうけど日本人向けのかわいさに欠けたキャラクターでした。
実際コンカーと同時にE3にて発表され、日本では98年末に発売された「バンジョーとカズーイの大冒険」という〈濃いキャラが登場する〉アクションゲームは、海外では300万本強のセールスを記録したものの日本では10万本程度と大きな開きがありました。
これにはいろんな事情があるのは確かなのですが、それでもキャラクターもひとつの原因なっているのでは、というのが大方の意見でした。
だけどそんな中、コンカーだけはひょっとして日本人受けするんじゃないか?
と、僕は思っていました。目はやっぱりちょっと怖い感じなのですが(^^;)、リスという設定がよかったのか、他のキャラに比べすごくかわいかったのです。それに、キャラクターの表情をこだわって作っているとのことで、生き生きとした顔をしていたのです。
↑草原とお花畑が似合った頃のリスのコンカーです(^^)。ガールフレンドのベリーとともにいろんなコスチュームになりながら、悪者に取られたプレゼントを取り返す冒険をする予定でしたが…。 |
続報に期待し、胸を膨らませているとその年の暮れ頃、E3発表タイトルではなかったもののコンカーが登場するゲームが発売されました。「ディディーコングレーシング」という、一見「マリオカート」のレア社キャラクターバージョンとでも言うようなゲームに、プレイヤーキャラの1人として一足お先に登場したのでした。
このゲームの中で、コンカーは期待通りのかわいいキャラ振りを発揮してくれました。登場する8人のキャラはほとんどこのゲームで初登場でしたが、タイトルにもなっているディディーコングや、バンジョーの姿もありました。しかし僕はいつもコンカーを選びます(もちろん理由はダントツでかわいかったからです)。そして、コンカーが主役のゲームの登場がますます待ちどうしくなっていったのでした。
しかし、いつまでたっても、何一つ続報はなかったのです…。
3年の沈黙の後、彼は…
電撃発表から3年後の今年、E3開催中のある日、ゲーム情報サイトを巡っていた僕はとある一文に釘付けになりました。GAMESPOTのE3特集ページの目次です。そこには見逃しがちな感じに「コンカーがE3出展をボイコット!?」との見出しが…。「コンカー」ってずーっと音沙汰のなかったあのコンカーなのか?ボイコットということはとうとう発売中止が決定?などと思う余裕もないくらい、あわてて本文に目を通してみると信じがたいことが書かれていました(この時は本当に衝撃でした)。
コンカーが、粗暴な言葉を話し、タバコを吸い、マシンガンをぶっ放すと言う、とんでもない荒くれ者になってしまったと書かれていたのです!
こ、コレは一体…???
もっと詳しく真相を知りたくなった僕は、他のゲームサイトを飛び回ったのですが、それで得られたことと言うのは、誰もコンカーなどには注目していないという、もうひとつのショッキングな事実でした。どこのゲームサイトも、コアな任天堂ファンサイトですら取り上げられてなかったんです。数少ない感想として、「これは日本発売はないな」という誰かのコメントを見つけることができたくらいでした。
と言うわけで、なんだか消化不良な気持ちのまま、今に至っているのです。
コンカーはなぜ変わらなければならなかったのか
このままうやむやしてるのもなんなので、上のテーマで何かいろいろ考えてみることにしました。
最初に思ったのは、注目度ですよね。このゲームソフトはNINTENDO64用ですが、64というのはもう成熟期で、ちょっとやそっとのことがあってももう注目される存在ではありません。そんな中でレア社が取った方法なのがこれなのかと。実際に、日本では誰も注目しませんでしたがアメリカではなかなかの注目を集めていたようでした。ちなみに海外では(かわいかった頃の)コンカーが主役のゲームボーイソフトが発売されているため、そのギャップが明確だったのかもしれません。
もうひとつはレア社の社風とでもいうようなものがそうさせたのかなあというもの。レア社は現在任天堂のセカンドパーティと言う位置付けで、レア社開発のソフトは全て任天堂ブランドとして発売されます。したがって子供でも安心して遊べるようなゲームを制作するのが前提になるわけですが、元々レア社はちょっとくせのある会社なんですよね(下のおまけ参照)。なにかフラストレーションみたいなものが、コンカーに現れたのかなあなんて思ったんですが、これはちょっと考えすぎかも…。
↑レア社のHPで見れるでもムービー内で拝見できる王冠をかぶりお酒(?)を飲むコンカーのお姿。目が据わってるし…。ちなみにコンカーのサイトに入る前に「17歳以上か以下か」というような質問ダイアログまで表示される徹底振り。何かやばいことでも喋ってるんでしょうか…?(英語だから分かんないけど) |
LINK
Rarewhere…レア社のHP(英語です)。
Conker’s
BFD…今回紹介したゲームソフトのコーナーです。
Nintendo
Power E3…アメリカ任天堂のE3特集ページ内のコンカーコーナー。ゲーム画面が何点かあります。
Conker’s
Pocket Tales…再びレア社HPより。ゲームボーイ版のコンカーかな?
ちなみにまだかわいいです(^^)。
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