時計の国に行きたいな


カッチン・・カッチン・・カッチン・・カッチン・・

時計の秒針の音を聞いていると、時計の国に行けるような気がします。

カッチン・・カッチン・・カッチン・・カッチン・・

時計の国につきました。
時計の国の住人がいました。その人は、自分のことを時計の国の王様だといいました。よく見ると「めざましテレビ」の時計(めざまし君)でした。時計の国への来訪の記念に、めざまし君のぬいぐるみを貰いました。もちろん、僕はエクスプレス派だということはだまっていました。ぬいぐるみを見て、「枕にちょうどよさそう」と思ったことも王様にはないしょです。

「早く起きなよ」

という弟の声が聞こえたかと思うと、僕は時計の国から脱出していたようでした。そこで、さっきまで時計の国にいたということを弟に話しました。ところが弟は、

「は? 何いってんの、寝ぼけ!」

と、このありさまです。何で兄の言うことを信じないんでしょうね。その時のぬいぐるみだってほらここに、とぬいぐるみをつかんで差し出そうとしましたが、手は、ぬいぐるみをつかんでいませんでした。

空気をつかんでいました。

しょうがないので、弟につかんだ空気をあげることにしました。弟はきょとんとしていたので、こっちもきょとんとしかえしてやりました。

テレビでは小倉がなにやらしゃべっていました。遅刻でした。今日は登校日だったのです。

僕はあきらめてベッドに戻り、もう一度時計の国に行くことにしました。

カッチン・・カッチン・・

でも遠くから小倉の声が聞こえます。邪魔です。今さらテレビを消しに行くのも面倒なので、時計と一緒にふとんをかぶりました。小倉の声はなるべく聞かないように心がけます。

カッチン・・カッチン・・カッチン・・カッチン・・
カッチン・・カッチン・・カッチン・・カッチン・・
カッチン・・カッチン・・カッチン・・カッチン・・
カッチン・・カッチン・・カッチン・・カッチン・・

でも秒針の音はどこにも連れて行ってはくれなかったのでした。時計の国は現れなかったのでした。

かわりに、カツラの国が現れました。
(書いた日:2001.8.5)