奇妙なやつ、旅へ出る 僕は普段、あまり人目を気にしないように心がけている。 人の目は僕を不安がらせるからだ。 僕を見るとき、人はいつも奇妙なものでも見るかのような目つきをしていた。 ある日、僕は旅に出た。 自分も自分なりの”奇妙なもの”を探し出し、 今度は僕が、そいつを奇妙な目つきで見てやろうと思ったのだ。 ある時は北へ行き、ある時は南へ行った。 しかし奇妙なものは見つからず、かわりに出会う人かたっぱしから 奇妙なものでも見るかのような目つきで見られるはめになった。 西でも、東でも。 僕は疲れ果て、元いた家に帰っていた。 ふと鏡を覗き込むと、そこには 奇妙な目つきをした自分がこっちを見ていた。 (書いた日:2000.11.7) BACK |