なんか、つけられました。
町を歩いていただけなのに
ひょっこりと現れ、そして去っていった誰かに
なにかを頭につけられたぼく。
「えーっと、こういう時ってどうすれば」
なにかを考えようとしても、
どうやってなにを考えていいか
わからなくなるものですね。こういう時って、ね。
そのままぼーっと突っ立ってると、
なんだか町のオブジェになった気がしてきました。
そうだ、ぼくはこのなにかをつけられたことにより、
崇高な芸術作品となったのです。
見る目を持った人じゃないと、
真の価値なんて理解できない存在です。
そう思うと、
目に映る光景がいつもと違って見えてきました。
いい気分です。
カラーン。
5円です。
誰かに5円玉を投げられました。
――ぼくは10円くんなのに。