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■先日、スーパーカーというバンドの解散ライブに行ってきました。
(こんな書き出しだと、ここから先にはライブレポートが書かれているんだろうと
思われるかもしれませんが、違います。
恐ろしくしょーもない、個人的なことですので読まない方がいいです)
偶然にも先行予約で当選して行けることになったこのライブ。
はずれてしまった人や、他にどうしても外せないスケジュールがあったり、
距離が遠くて行けないといった人たちのためにも、
しかとこの目と耳で見届けなくては…
そんな思いも胸に、解散までの日々を1日、また1日と
平凡に、また平穏に過ごしていました。
だけど、今振り返ってみると、この時点で僕は、
やはりどこかうわの空状態だったのかもしれません。
そしてライブ当日、僕はいたって冷静でした。
ついにこの日がやってきたと。
チケットを確認しても今日の日付がくっきりと印字されているし、
ライブ会場のサイトを開き、
今日のスケジュールを確認してみると、
そこにはやはりSUPERCARと書かれていました。
遂にこの日がやってきてしまったのだ。そう思いました。
僕は準備をし、部屋を出ました。
家からライブ会場までは電車で1時間ほどです。
電車の中では、スーパーカーの音楽を聴いていました。
新木場駅に降り立ちます。
都内だとは思えないほど、広々とした、
悪く言えば閑散とした駅前です。
てくてくと歩き続けると、程なくして会場へやってきました。
敷地入口の警備員さんがチケットの確認を求めたので提示し、
その先の建物の入口へ、更に場内へとどんどん進みました。
扉の先の会場内へと足を踏み入れると、中は既に満員でした。
そのとき僕は
「もうこんなに人が入ってるんだ、見えるかな」
そんなふうに思った、と思います。
そして場内に流れている音楽が生演奏だと言うことに気づきます。
今の曲が終わり、新しい曲が始まります。
溢れる歓声。そして聞き覚えのあるメロディーが流れてきました。
「Love Forever」というスーパーカーのシングル曲でした。
そして、歌声。
つま先立ちで人の頭と頭の間からステージを覗きました。
ボーカルのナカコーが歌っていました。
この段階になっても僕は、まだ自分のしでかしたことに、気づかなかったのです。
ただ、もうナカコーは歌っていていると言うことと、
そして、既に歌い始めている理由を知らないのはこの会場で僕だけな気がするということ、
その2つの事実が今、目の前にあると言うことだけしか理解できませんでした。
僕は、解散ライブの、開演時間を間違っていたのでした。
思えば去年、初めてスーパーカーのライブを見に行った時も
会場にたどり着いたときには既に始まっていました。
ギリギリになってしまった上に道に迷ってしまうというありえない事態が
重なって、そうなってしまったのでした。
これまで僕がライブの開演に遅れてしまったのって、この1回だけだったんです。
だから、今回だけは、絶対に…。
振り返ってみると、そういう気持ちとは裏腹に
隙だらけの行動を取ってたように思います。
でも、あんなに何度も確認したと思っていたのに、
出掛ける前に見たサイトにもちゃんと時間が書かれてあったのに…、
まさか、そんな大事なことが頭の中でここまでキレイにスルーされていたとは、
自分では、まったく気づかなかったのでした。
後でネットの情報を見ると、僕がいちばん聴きたがっていた「FAIRWAY」という曲は
到着する10分前に終わっていたようです。
でも、僕はあの場所に身を置けただけでも幸せ者なんです。
たった4曲聴きそびれた、それだけの話です。
前の人の頭と頭の隙間から覗く、フェンス越しに見えるステージで、
客席には目を向けずに、無言で、だけど片手を上げて去っていくナカコーの姿は
とても印象的で、さわやかな気分になりました。
もう4人のステージは見られないと言うのに。
もう2度とFAIRWAYは聴けないと言うのに。
この日のことが、思い出になる日のことは
今はまだ想像することもできませんが、
その時には、きっといい思い出として呼び起こされる、
はずです。絶対に!
さようなら、スーパーカー!
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