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これは、クリーチャーズの三浦昌幸さんへのインタビュー。
三浦さんは通称"三浦(弟)"さんと呼ばれている方で、
「MOTHER2」ではシナリオを担当されていて、
64版「MOTHER3」でも引き続きシナリオを担当されていました。

もちろん、セリフ自体は糸井さんが考えるんですが、
このへんで、どういう風に関わっているかが語られています。

このインタビューは1999年に開催された
任天堂のイベント「NINTENDOスペースワールド'99」の会場内にて
行われたものです。このイベント時には
64版「MOTHER3」がプレイヤブル展示されていたんですよね。
プレイヤブル展示は後にも先にもこの時の1回だけ。
行った方は超羨ましいです。

というわけでインタビューの内容も
プレイヤブル展示された「MOTHER3」についてとなっています。
それではどうぞ。













セリフはぜんぶ
糸井さんが書いた



―― 今回のショーには糸井さんはいらっしゃらなかったですね。

三浦 コピーライターとしての本業以外にも、糸井さんのホームページ「ほぼ日刊イトイ新聞」がすごい事業になっていますので、とても忙しいようなんです。でも、他の仕事をしていても、ふたこと目には「『MOTHER3』はどうなっているんですか?」って聞かれるようですね。『MOTHER』ファンのホームページ(※「MOTHER Nippooon」さんのこと)をたまたま見たら、10周年で盛り上がっていまして、糸井さんが「そうかぁ、10周年かあ」って書き込みをしたら、それに対してすごい反響があって、「みんなも応援してくれているし、やっぱり待っててくれる人がいるんだよ」って糸井さんも燃えているようです。それで、今回出展したショーバージョンは「せっかく見に行こうという人がいるんだから」ということで糸井さん全部のセリフをショー用に書き直したんですね。

―― 今回のショーバージョンを作られた経緯は?

三浦 RPGというのはショーのような場所で見ていただくには難しいところがあるんですね。限られた時間で遊んでみても、レベルアップしたり装備を調えたりする時間がありませんし。でも、RPGの面白さというのはそういうところにもありますから、そこを両立させておいしいとこ取りをしたものをアレンジして作ったんです。

―― つまり、いろんな章のいい部分を詰めこんだと。

三浦 そうです。ぼくはシナリオを担当しているので、「それはまだ見せたくないよ」というところや、これはおいしいという部分は伏せましたけどね。

―― リュカとクラウスの双子の兄弟がトロッコに乗っていくシーンが印象的でしたね。

三浦 それは序盤のシーンですね。

―― 序盤から2人が一緒に行動するんですか? 確か双子の兄弟は陰と陽というか正反対の性格だったと認識していますが…。

三浦 そうです。正反対の性格になっていくんじゃないでしょうか。

―― なるほど、いろんな体験をしながら…。シナリオはエンディングまでできあがったんんでしょうか。

三浦 できあがりました。シナリオの骨格自体は2年前にはできあがっていたんですが、それがゲームに落ちるカタチでしっかりまとまったのは、3ヶ月前くらいですね。



とにかく泣ける
MOTHER3に


―― エンディングがしっかり見えて、それで『豚王の最期』というサブタイトルに決まったんですね。

三浦 そうです。

―― エンディングをほうふつとさせるタイトルですね。

三浦 そうですね。そのへんはもうわかりやすくということで。前作も『ギーグの逆襲』でしたから。

―― 豚王はやっぱりポーキーですか?

三浦 『2』をやった人はそう思うかもしれませんけど、まだ秘密です。

―― 章だては12章になっているということでしたけど…。

三浦 今のところ変わっていません。最終的には動く可能性はありますけど。

―― 64DDからカセットに移行したことで、犠牲にした部分はありますか?

三浦 犠牲というか、64DDで考えたネタも当然ありましたからね。でも、ロムになったからいいこともあるんです。64DDの使える領域よりも、ロムから直接読めるところが広いので、ダイナミックな絵作りが出来るようになったんです。あと、64DDじゃなくなったことで、大勢の人に遊んでもらえる可能性が大きくなったことも素直に喜ぼうと(笑)。

―― 音楽もすごくいいですね。大作RPGを意識したんでしょうか。

三浦 パロディとまではいかないですけど、「俺がやったらこうだぞ」というのは糸井さんの中にあると思うんです。そういう意味では酒井省吾(HAL研)さんの音楽は合っているみたいですね。音楽の持っているテイストにゲームの方も引っ張られていったところもありますし。

―― 会場でヘッドホンを使っていたのは『MOTHER3』だけでしたね。

三浦 われわれとしても、音を聞いてほしいということで任天堂さんにお願いしたんです。あと、バトルでも音の要素が必要になるので、音を聞いてもらえないと本当に遊んでもらえないというゲームデザインのほうからの要請もあって。

―― そのへんを具体的に。

三浦 画面上にはなにも表示されてないんですが、流れている曲のリズムにのってボタンを押すことで、連続攻撃ができるようになっているんです。あと水が流れる音しか聞こえない場所で敵が視界に入ってくると、その敵のテーマ曲が流れて、接触するとバトルに入る点、といったのが一連の曲になるように作られているんですね。

―― 『MOTHER3』の大きなテーマを教えてください。

三浦 糸井さんとむかし話していたんですけど…、泣かせきる(笑)。泣かせきる『MOTHER3』にしようよって。『1』はワリともの悲しい世界で、『2』ではそれをぶちこわしたくて、楽しくどんどんって感じでしたけど、今度はツライ…、ツラ~イ思いをしてもらったり、泣いたり(笑)。

―― 「ひどいよ~」って泣き叫びたくなるくらい?(笑)。

三浦 はい。毎回、前のファンを裏切ろうというのが『MOTHER』ですから。『MOTHER2』のほのぼのした世界を期待していると、いきなり裏切られるかもしれない(笑)。








●The64DREAM 1999年11月号(毎日コミュニケーションズ)より

このインタビュー、けっこう他では語られていないことが
さりげなく語られています。

リュカとクラウスはだんだんと正反対の性格になっていく。
豚王とは…。
戦闘シーンでの音の要素、”敵のテーマ曲”、などなど…。

ゲームボーイアドバンス版にも継承されている要素はどのくらいあるんでしょうか。
はてさて…。

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